その瞳に涙 ― 冷たい上司と年下の部下 ―
しばらくすると部屋のインターホンが鳴ったので、よろよろとベッドから立ち上がった。
まだ熱があるようで、立ちくらみがしてしまい、玄関まで向かうのに時間がかかる。
ゆっくりとドアを開くと、広沢くんがそれをこじ開けるようにして中に入ってきた。
「碓氷さん、大丈夫ですか?これ、差し入れです。あ、もしかして寝てました?」
帰ってきてそのままベッドに倒れたから、着替えてもいないしメイクも落とせていない。
きっとメイクが崩れていてドロドロだ。
本当なら人に見せられる顔じゃない。
「大丈夫。一度起きなきゃいけないと思ってたから。わざわざありがとう」
なるべく早く帰ってもらいたくて、広沢くんから買い物袋を強引に受け取る。
どれだけ買い物してきてくれたのか、それは予想以上により重くて、うまく体に力が入らずにふらりとよろけた。
「大丈夫ですか?」
広沢くんがふらつく私の腕をつかむ。