極上御曹司のヘタレな盲愛
「人でなし…鬼畜…変態…」

恨みがましい目で見つめる私の横を、鼻歌を歌いながらスキップでもしそうな上機嫌で歩く男。

手を繋いで役所に向かう道。
自分でも歩き方がおかしいのがわかる。
朝、起きたら全身筋肉痛だった…。
腰は痛いし…重いし…寝不足だし。
どことは言えないけれど…ヒリヒリするし…。

大河はあれから箍が外れたかのように私を何度も求めた。
まるで20年を超える想いを一気に埋めようとするかのように。

でもこの男はやっぱりイジワルで…。
私がダメって言うところばかりを的確にせめてきて…。
もう声が枯れるくらい何度も何度も…。

…自分の乱れ様を思い出しただけで全身から火が出そうだ…。

午前3時を回り…私が半泣きで
「これ以上するなら結婚しないっ!」
って言って、ようやく寝かせてくれたけど。

朝起きてシャワーを浴びるためにベッドから下りようとしたが…足に全然力が入らなくて崩折れてしまった私は…。
ニヤつく大河にまたお姫様抱っこをされて浴室まで運ばれ、全身洗われるという辱めを再び受ける事になった。


昨日、あんなに仕事をしっかりやろうと心に誓ったばかりなのにまた午前半休をとる事になってしまった。
一昨日、有休を取ったばかりなのに。
お嬢様だから甘やかされてるって言われてもしょうがないよね。

会社に電話をすると、悠太が出た。
午前半休をとる事と、その理由を『役所に行くから』と言うと。

「ああ、とうとう落ちたか…。思ったより早かったな。桃ちゃん、おめでとう。大河にお疲れって言っといて♪」
って言われて焦ってしまった。

何がお疲れよ!疲れてよろよろボロボロなのは私!
あの男は私より寝ていないはずなのに、ピンピンしてるのよ!

とうとう落ちたかって…まさか…昨夜の事…バレてるの?

いやいや…考え過ぎ…って事にしておこう。

スマホを持って赤面している私に「これな」と婚姻届を渡し、ペンを持たせてくる大河。

3日前には絶対に書くことはないと思っていた婚姻届に…私はサインをしたのだった…。


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