極上御曹司のヘタレな盲愛
「人でなしと鬼畜はいいとして、変態ではないだろう?」

人でなしと鬼畜っていう自覚はあるんだ…。
全く、初めての私にあんなに何度も…。


役所で婚姻届を提出し、係のお姉さんに不備がないか確認されると『おめでとうございます』と、ニッコリ笑顔で言われた。


どうしよう!
結婚しちゃった!しかもあの大河とだよ!

一週間前は週末の慰安旅行が嫌で、どうにかならないかって真剣に悩んでいたのに!

3日前にだってこんな事になろうとは思ってもみなかった!まさに青天の霹靂!
だって…天敵だったのよ!

でも今…後悔する気持ちは、これっぽっちもない。

「これで水島 桃だな」
「うん」

「これで死ぬまで離れないで一緒にいられるな」
「うん」

大河が蕩けそうな笑顔で優しく言う。

「末永くよろしくな、奥さん」
「こちらこそ…よろしくね、えっと…旦那様…?」

大河を見上げて、笑いながら私が疑問形で首を傾げてそう言うと、大河にぎゅぅっと抱きしめられた。

「ちょっと!ここ役所の前よ!みんな見てるから!」

「感無量…。やっと桃が全部俺のものになった…。長かった…」

大河が感慨深げに言うので抵抗できなくなってしまった。

大河がもしもずっと前に私を好きだと言ってくれていたら?
私達は、もっと前から付き合って結婚していただろうか…。

ううん、たとえ付き合ったとしても、私が周りの事を気にし過ぎて早くにダメになっていただろう。
きっと大人になった今だからこそなんだ…。

「大河、私の事をずっと好きでいてくれてありがとうね」

大河の背中に腕を回してキュッと抱きしめ返した。


「…なんか…私達…絶対に通りすがりの人たちに…馬鹿ップル滅びろって思われてる気がする…」

「だな…」

その後、2人で顔を赤くして会社に向かったのだった。


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