極上御曹司のヘタレな盲愛
しばらくして大河が部屋に戻ってきた。
「家の方に、目が覚めたって連絡をしておいた…。医師が明日の午後、これからの治療方針を説明するって言ってたから、おじさんもおばさんもその時に来るってさ」
「ありがとう」
私は大河にお礼を言った後に、気になっていた事を訊いた。
「あの…大河はどうしてここにいるの?」
「光輝に…様子を見てきてくれと頼まれたんだ…」
「そ…そうなんだ…」
お兄ちゃん!人選ミスだってば!なんでよりによって大河に頼むのよ!
せめて悠太だったら会社の事も訊けて良かったのに!
なんと言っても天敵!気まずい事この上ない!もう逃げたいよ!
「今日はもう遅いから、光輝も花蓮も明日来るってさ」
「そう…あの…大河も、ごめんね。お兄ちゃんが様子を見てこいなんて頼んじゃったから…。私、タイミング悪く目なんか覚ましちゃって…。ご迷惑をおかけしました!
だから…もういいよ…帰って」
大河の形の良い唇が、また一瞬への字になって…なんだか泣きそうに見えたが…気のせいだよね?あの大河が泣くわけない…。
「…タイミング悪くとか言うなよ。みんな…どれだけ心配したと思ってるんだ。
本当に目が覚めてよかった…」
大河は私の頭を撫でてきた。
身を引いてそれを手で遮る私を見て…あれ?また悲しそう?
気のせいだよね。大河は私の事が嫌いだし、私が大河を避けるのもいつもの事だ。
大河が悲しそうな顔をしたのは一瞬だったし、やっぱり気のせいだ。
「目が覚めたばかりだけど…もう2時を過ぎてる。少し眠れ。明日、検査が色々あるって言われてただろ?」
そう言うと大河は、大きな手で今度は私の両目を覆った。
ちょっと!やめて!と抵抗する私に
「お前が眠らないと、俺帰らないからな…」
と離してくれない。
ふと気づくと、私の目を覆う大河の手が…泣いているように細かく震えていて…なんだか抵抗できなくなってしまった。
あの意地悪で俺様な大河が泣くなんて考えられないから、気のせいだとは思うけど…。
「あの…大河…。ホントはね。目が覚めた時に知ってる顔があってね…。ちょっと…って言うか、すごく心強かったの。様子を見に来てくれて…ありがとうね」
「…ああ…」
そんなに眠くはなかったのに、大河の大きな手が暖かくて。
数分のうちにまた睡魔が襲ってきた。
今日の大河は、意地悪じゃなかったな。
流石の大河も、怪我人には意地悪できなかったんだろうな。
そういえば…前にも大河にこうして寝かしつけられた事があったような気がするけど…。
いや…そんなわけないか…。
なんてボンヤリ考えていたら、いつの間にかまた眠ってしまったのだった。
幸せな夢を見ていた…。
愛しい人と緑の草原を、手を繋いでずっとずっと笑いながら歩く…。
そんな幸せな夢を見ていた…。
愛しい人の顔は、眩しくてよく見えないけれど…とにかく幸せで…私はずっと笑っていた…。
「家の方に、目が覚めたって連絡をしておいた…。医師が明日の午後、これからの治療方針を説明するって言ってたから、おじさんもおばさんもその時に来るってさ」
「ありがとう」
私は大河にお礼を言った後に、気になっていた事を訊いた。
「あの…大河はどうしてここにいるの?」
「光輝に…様子を見てきてくれと頼まれたんだ…」
「そ…そうなんだ…」
お兄ちゃん!人選ミスだってば!なんでよりによって大河に頼むのよ!
せめて悠太だったら会社の事も訊けて良かったのに!
なんと言っても天敵!気まずい事この上ない!もう逃げたいよ!
「今日はもう遅いから、光輝も花蓮も明日来るってさ」
「そう…あの…大河も、ごめんね。お兄ちゃんが様子を見てこいなんて頼んじゃったから…。私、タイミング悪く目なんか覚ましちゃって…。ご迷惑をおかけしました!
だから…もういいよ…帰って」
大河の形の良い唇が、また一瞬への字になって…なんだか泣きそうに見えたが…気のせいだよね?あの大河が泣くわけない…。
「…タイミング悪くとか言うなよ。みんな…どれだけ心配したと思ってるんだ。
本当に目が覚めてよかった…」
大河は私の頭を撫でてきた。
身を引いてそれを手で遮る私を見て…あれ?また悲しそう?
気のせいだよね。大河は私の事が嫌いだし、私が大河を避けるのもいつもの事だ。
大河が悲しそうな顔をしたのは一瞬だったし、やっぱり気のせいだ。
「目が覚めたばかりだけど…もう2時を過ぎてる。少し眠れ。明日、検査が色々あるって言われてただろ?」
そう言うと大河は、大きな手で今度は私の両目を覆った。
ちょっと!やめて!と抵抗する私に
「お前が眠らないと、俺帰らないからな…」
と離してくれない。
ふと気づくと、私の目を覆う大河の手が…泣いているように細かく震えていて…なんだか抵抗できなくなってしまった。
あの意地悪で俺様な大河が泣くなんて考えられないから、気のせいだとは思うけど…。
「あの…大河…。ホントはね。目が覚めた時に知ってる顔があってね…。ちょっと…って言うか、すごく心強かったの。様子を見に来てくれて…ありがとうね」
「…ああ…」
そんなに眠くはなかったのに、大河の大きな手が暖かくて。
数分のうちにまた睡魔が襲ってきた。
今日の大河は、意地悪じゃなかったな。
流石の大河も、怪我人には意地悪できなかったんだろうな。
そういえば…前にも大河にこうして寝かしつけられた事があったような気がするけど…。
いや…そんなわけないか…。
なんてボンヤリ考えていたら、いつの間にかまた眠ってしまったのだった。
幸せな夢を見ていた…。
愛しい人と緑の草原を、手を繋いでずっとずっと笑いながら歩く…。
そんな幸せな夢を見ていた…。
愛しい人の顔は、眩しくてよく見えないけれど…とにかく幸せで…私はずっと笑っていた…。