極上御曹司のヘタレな盲愛
「話って…何よ…?」

「うん…まぁ…座れよ」

特別室だから、ベッドの横に立派なソファーセットがあるのだが、そこを指差して私に座るように促す。

「とりあえず…これ…」

大河が、持っていた大きな紙袋を押し付けてきたので受け取った。

「なぁに?」
開けてみると…。

「わぁ!可愛いワンピ!…あ、明日の着替えね?やった!化粧品もちゃんと入ってる!
ありがとう!届けてくれて!…でも…なんで大河がわざわざ…?
昨夜といい……もしかして激暇なの?」

思わず不審な顔全開で訊いてしまうと、大河はフッと苦笑した。

「まぁ、暇っちゃ、暇だけど…相変わらずだな…」

そう言って私の横にどかっと座り、長い足を組む。

「桃に話があるって言っただろ…」

そうして青みがかった綺麗な瞳で、大河は私をじっと見つめた。

看護師さん達も言っていたけれど…。
本当に綺麗な顔をしているよね、この男…。

これで意地悪じゃなかったらなぁ…。

まぁ、私が大河の事をいいと思う事は、未来永劫ないと思うけどね…。
大河も私の事を嫌いだから、お互い様か…。


「昨夜…、お前に…俺がずっと好きなのは誰か知っているかって訊いたのは覚えているか?」

なんだ、その事か…。なんの確認?
もしかして、婚約しちゃった花蓮に言うなよって、口止めをしに来たのかな?
今更?
会社のみんなだって、大河は花蓮の事を好きだって噂してるのに?

「うん…覚えてるよ」

「お前は…花蓮に決まっている…って答えたよな」

「うん…だって!そうでしょ?」

「答えは、NOだ…。大不正解…」

「うん…って…えっ?えーー〜っ!不正解ーー?」

花蓮じゃない?何を言ってるの?この男!

「だって…!大河が高等部の時、学食でお友達に言ってたでしょ!
『双子の妹は昔から俺のものだから手を出すなよ』って!
私、それ確かに自分の耳で聞いたよ!
あれ、双子の妹って、花蓮の事じゃなかったの?学校でも随分噂になっていたじゃん!
会社でも、大河が好きなのは花蓮だって、みんな思ってるよ!
……あ!あーーっ!そういえば、2学年上に双子の先輩がいたよね!吹奏楽部の美人の双子!
もしかして、本当はあっちだったの?」

「はぁ…やっぱりイチからか…まぁいいや…覚悟の上さ」

大河は小さく呟いた。


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