極上御曹司のヘタレな盲愛
「じゃあさ、桃…。俺と付き合ってくれないか?
俺と付き合って、ちゃんと恋愛して…結婚して…家族になろう。家族になって、ずっと俺の隣にいて欲しいんだ。
お前が今、俺の事を好きじゃないって事はわかっているよ…。
ふっ…だって…天敵だもんなぁ。
でも俺、これからお前に好きになってもらえるように精一杯頑張るからさ…。桃はゆっくり俺の事を好きになってくれればいい…」

「大河と…付き合う…?」

「うん。お前付き合っているヤツいないだろう?お試しって感じでもいいから、俺と付き合ってみてくれ。…どうしてもダメだったら、そう言ってくれていいから…。
まぁ、好きにさせる自信はたっぷりあるけどな…」

一瞬、いつもの俺様な大河の顔になったけど…。

「大事にして…優しくして…とことん愛してやるから、俺のものになってくれないか?」

私の瞳を覗き込んでそう言った大河の…甘く優しい顔を見つめたら…。

ドキン!また胸が大きく高鳴って…。

「わかった…。…じゃあ…付き合って…みるよ…」

って、まるで魔法にかかったみたいに…つい答えちゃったんだ…。

一瞬、大きく目を見開いた大河は、次の瞬間…嬉しくてしょうがないという顔で微笑んだ。


「じゃあ、俺たち今この瞬間から恋人同士だよな…」

「う…ん…。た…ぶん…」

「それじゃあさ、少しだけ…抱きしめてもいいか?」

大河が大きく腕を広げてくる。

「え?」

戸惑っている私の腕を優しく引き寄せ、大河は私を腕の中に閉じ込めて、髪を優しく撫でた。

きゃーッ!何?これ!
心臓が壊れそうなほど早く打っている!
全身が真っ赤になっているのが自分でわかる!

でも、どこか冷静な自分がいて…。

「あの…大河…?念のために聞くけれど…」

「ん?」

私は大河の腕の中で顔を上げて、大河の瞳をじっと見つめる。

「私が…ここで抱きしめ返したら…テッテレ〜って、その辺から誰かがプラカードを持って『騙されました〜』って出てくるなんて事は…」

「ねぇよ!全く!どれだけ俺、信用ないんだ…」


ふふっ…。
私は安心すると、そっと両腕を大河の背中に回して、シャツをキュッと握って目を閉じた。

あれ…?
大河の胸の匂い…いい匂い…。柔軟剤かなぁ…それともコロン?
なんだろう。この感じ…。凄くドキドキしているのに…守られて安心するような…。

そんな事を思っていると、大河が呟いた。


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