極上御曹司のヘタレな盲愛
焼きそばが出来上がり紙のお皿に取り分けていると、光輝と大河がふらっとやって来た。
「おっ!焼きそばじゃん!美味そう!ちょうだい」
光輝が言う。
「お兄ちゃん達はあっちで食べればいいでしょう?いっくらでも食べさせて貰えるよ。なんならアーンって口開けてるだけで食べさせて貰えるし」
と小声で言う。
「なんだか匂いにつられてイケメンが集まった…」
こらこら恵利ちゃん、心の声が漏れてるよ。
あっちへ行け、と言うのに光輝が「ケチケチすんなよ」と、勝手にクーラーボックスから冷えたビールを3本取り出し、1本を大河に渡し、1本を高橋君に投げ、近くの椅子にどかっと座った。
「どうぞ、お召し上がり下さいませ」
恵利ちゃんがわざと恭しく光輝と大河に焼きそばの乗った紙皿を献上する。
「なんか、うまッ!この焼きそば!」
私が渡した焼きそばを一口食べて高橋君が言った。
「ですよねー。桃センパイの焼きそば、この前、家で作って貰って感動したんですよ。ソースが絶妙で!他に作ってくれたご飯も全部美味しかった♪」
恵利ちゃんがニコニコ笑いながら言う。
「もう、私が男だったら桃センパイと結婚したい!女でも嫁にもらいたい!ぜひ私の所に嫁に来て下さい!私頑張って働いて養いますから」
テーブルの向こうから恵利ちゃんがウインクをしてくるので私は笑ってしまった。
「桃は昔から料理だけは上手いんだよ」
光輝が高橋君に言うので
「どうせ料理だけですよぉ、だ」
私が不貞腐れて言うと、高橋君がクスクス笑いながら…。
「じゃあ、俺も似鳥さんをお嫁さんに貰いたい候補にエントリーしようかなぁ」
と、とんでも無い事を言い出した。
一瞬シンとなり、光輝と美波先輩は何故か大河をチラッと盗み見た。
「桃センパイは渡しませんよ!」
と言う恵利ちゃんに、高橋君がアハハと大笑いしたので私もとりあえず笑っておいた。
しばらく6人で飲みながら話していると、そういえば…と高橋君が私の方に体を向けて言った。
「そういえば前から聞こうと思っていたんだけど、似鳥さんが同期会になかなか顔を出さないのって…あの辺に居る人達が理由?」
と離れた所で営業の男性社員達と盛り上がっている受付チームの斎藤紫織達の方を見た。
「あー〜、同期会ね。私なかなか都合が合わなくって」
「ふぅん…」
高橋君はビールをゴクリと飲むと言った。
「なんかさ。聞きたく無くても同期会に行くとあの人達が色々似鳥さんの事を悪く言ってるのが耳に入って来ちゃうんだよね。だから同期会に来たくないのかと思って」
私は入社後のある出来事から、学生時代から私の事を嫌っている斎藤さんは勿論の事、同期の女子社員殆どに疎まれている…という思いから同期会に出られないでいた。
私が眉尻を下げて曖昧に微笑むと…。
「来月の同期会にはおいでよ。幹事に言ってあの辺の人達と席を離して貰うようにするから。
俺、ずっと君の隣にいて守るからさ。似鳥さんと話したいって奴、ホントいっぱいいるんだよ!」
花蓮じゃなくて私と話したい?
嘘!…そんな人いる?
光輝と美波先輩は、なぜかまだずっと大河の方をチラチラと何度も盗み見ていた。
「そうだ!来週末からの夏期休暇に、同期の奴らと海に行こうって話があるんだけど、似鳥さんも行かない?あの辺の人達は絶対に誘わないからさ」
高橋君が言うと、大河が聞こえるか聞こえないかの声で「海……」と呟くのが聞こえた。
「お前なぁ、兄の目の前で妹を口説くなよ。なんか恥ずかしいわ!」
光輝が言う。
えっ?私、口説かれているの?まさか…そんなわけないよね。
「すみません。でもこんな時じゃないと、似鳥さんと話すチャンスあんまりないんで…。あ!っていうか常務も似鳥さんか…。じゃ、これからは桃ちゃんって呼ぼうっと」
と高橋君は爽やかなアイドル顔で私の目を見つめ、ニコッと微笑んだ。
「いいよね?」と訊いてくるので「うん」と答えるしかない。
高橋君なかなか強引だな。
でも、営業だからこれくらいの強引さが無いとダメなんだろうな。
ふと気づくと、さっきまで大河をチラ見していた2人が、今やガン見をして固まっている。
何なの?と恐る恐る大河の方を見ると、普通にビールを飲んでいるだけだった。
何なのよ!もう!
「そう言えば、今日は藤井課長はご一緒ではないんですね」
恵利ちゃんが言った。
言われてみれば…いつも三人でいる事が多いのに。
悠太はさっき受付チームの所で飲んでいたな、と何気なくそちらの方に目をやった時だった。
「おっ!焼きそばじゃん!美味そう!ちょうだい」
光輝が言う。
「お兄ちゃん達はあっちで食べればいいでしょう?いっくらでも食べさせて貰えるよ。なんならアーンって口開けてるだけで食べさせて貰えるし」
と小声で言う。
「なんだか匂いにつられてイケメンが集まった…」
こらこら恵利ちゃん、心の声が漏れてるよ。
あっちへ行け、と言うのに光輝が「ケチケチすんなよ」と、勝手にクーラーボックスから冷えたビールを3本取り出し、1本を大河に渡し、1本を高橋君に投げ、近くの椅子にどかっと座った。
「どうぞ、お召し上がり下さいませ」
恵利ちゃんがわざと恭しく光輝と大河に焼きそばの乗った紙皿を献上する。
「なんか、うまッ!この焼きそば!」
私が渡した焼きそばを一口食べて高橋君が言った。
「ですよねー。桃センパイの焼きそば、この前、家で作って貰って感動したんですよ。ソースが絶妙で!他に作ってくれたご飯も全部美味しかった♪」
恵利ちゃんがニコニコ笑いながら言う。
「もう、私が男だったら桃センパイと結婚したい!女でも嫁にもらいたい!ぜひ私の所に嫁に来て下さい!私頑張って働いて養いますから」
テーブルの向こうから恵利ちゃんがウインクをしてくるので私は笑ってしまった。
「桃は昔から料理だけは上手いんだよ」
光輝が高橋君に言うので
「どうせ料理だけですよぉ、だ」
私が不貞腐れて言うと、高橋君がクスクス笑いながら…。
「じゃあ、俺も似鳥さんをお嫁さんに貰いたい候補にエントリーしようかなぁ」
と、とんでも無い事を言い出した。
一瞬シンとなり、光輝と美波先輩は何故か大河をチラッと盗み見た。
「桃センパイは渡しませんよ!」
と言う恵利ちゃんに、高橋君がアハハと大笑いしたので私もとりあえず笑っておいた。
しばらく6人で飲みながら話していると、そういえば…と高橋君が私の方に体を向けて言った。
「そういえば前から聞こうと思っていたんだけど、似鳥さんが同期会になかなか顔を出さないのって…あの辺に居る人達が理由?」
と離れた所で営業の男性社員達と盛り上がっている受付チームの斎藤紫織達の方を見た。
「あー〜、同期会ね。私なかなか都合が合わなくって」
「ふぅん…」
高橋君はビールをゴクリと飲むと言った。
「なんかさ。聞きたく無くても同期会に行くとあの人達が色々似鳥さんの事を悪く言ってるのが耳に入って来ちゃうんだよね。だから同期会に来たくないのかと思って」
私は入社後のある出来事から、学生時代から私の事を嫌っている斎藤さんは勿論の事、同期の女子社員殆どに疎まれている…という思いから同期会に出られないでいた。
私が眉尻を下げて曖昧に微笑むと…。
「来月の同期会にはおいでよ。幹事に言ってあの辺の人達と席を離して貰うようにするから。
俺、ずっと君の隣にいて守るからさ。似鳥さんと話したいって奴、ホントいっぱいいるんだよ!」
花蓮じゃなくて私と話したい?
嘘!…そんな人いる?
光輝と美波先輩は、なぜかまだずっと大河の方をチラチラと何度も盗み見ていた。
「そうだ!来週末からの夏期休暇に、同期の奴らと海に行こうって話があるんだけど、似鳥さんも行かない?あの辺の人達は絶対に誘わないからさ」
高橋君が言うと、大河が聞こえるか聞こえないかの声で「海……」と呟くのが聞こえた。
「お前なぁ、兄の目の前で妹を口説くなよ。なんか恥ずかしいわ!」
光輝が言う。
えっ?私、口説かれているの?まさか…そんなわけないよね。
「すみません。でもこんな時じゃないと、似鳥さんと話すチャンスあんまりないんで…。あ!っていうか常務も似鳥さんか…。じゃ、これからは桃ちゃんって呼ぼうっと」
と高橋君は爽やかなアイドル顔で私の目を見つめ、ニコッと微笑んだ。
「いいよね?」と訊いてくるので「うん」と答えるしかない。
高橋君なかなか強引だな。
でも、営業だからこれくらいの強引さが無いとダメなんだろうな。
ふと気づくと、さっきまで大河をチラ見していた2人が、今やガン見をして固まっている。
何なの?と恐る恐る大河の方を見ると、普通にビールを飲んでいるだけだった。
何なのよ!もう!
「そう言えば、今日は藤井課長はご一緒ではないんですね」
恵利ちゃんが言った。
言われてみれば…いつも三人でいる事が多いのに。
悠太はさっき受付チームの所で飲んでいたな、と何気なくそちらの方に目をやった時だった。