極上御曹司のヘタレな盲愛
『ゆきレディースクリニック』
ここだ…。

次の日の会社帰り…。
ウサコ先生にもらった名刺の住所に、スマホの道案内でたどり着いた。

薄いピンクの外観に金色の文字で病院名が入り、産科もあって入院設備の整った、思っていたより大きなクリニックだった。

受付でウサコ先生から紹介されて来た事を言うと、綺麗なお姉さんが「少しお待ち下さい」と奥に引っ込んだ。

暫くすると戻って来てニッコリ笑って言う。

「聞いていますので、そちらのおトイレで尿をこのコップに採って、中にある小窓を開けて置いておいて下さいね。終わられましたらまたお呼びしますので、待合室でお待ち下さい」

はぁ…。初めての病院って、どうしてこうも緊張するんだろう。

言われた通りに検尿を終え、待合室の長椅子に座り、少し落ち着いて辺りを見回す。

やっぱり妊婦さんが多いな…。
小さい子を連れている人もいて、大きなお腹で大変そう…。

でも可愛いな…。
私もそのうちお母さんになるのかな?

この体調の悪さの原因がわかって、治って元気になって…。
今はまだキスだけだけど…大河とこのままずっと付き合っていたら…。

そういう事になるのが先か…結婚が先かわからないけど…そのうちきっと…。

はッ!

こんな所でそんな事を考えてしまった自分が恥ずかしい!赤くなって慌てて俯く。

大河は私に激甘なように、きっと子供にも甘いんだろうな…。ふふっ…目に浮かぶ。

大河そっくりのヤンチャな子かな?
それとも私に似て泣き虫な女の子かな?

想像してひとりでクスリと笑っていると、中待合に呼ばれ、程なくして診察室に呼ばれた。


ウサコ先生の飲み友達だという緑川ユキ先生は、年齢不詳の…とにかく色っぽくて凄い美人だった。
某大泥棒のアニメに出てくる○○フジコちゃんの実写版!

ウサコ先生の飲み友達って…竜牙さんといい…ビジュアル審査があるのかな?

ユキ先生の前の椅子に座って、暫し先生に見とれてしまう。
あ…口元にホクロ…。本当に色っぽい!
私に少しでもその色気を分けて欲しい…。

そんな事を考えていると…。

「似鳥 桃さんね…。昨日、宇佐美君から電話をもらいました。
頭を打って、ずっと入院していたんですってね。
記憶の事も聞いています。大変だったわね…」

うわぁ。声も色っぽい!ゾクゾクする。


< 151 / 179 >

この作品をシェア

pagetop