極上御曹司のヘタレな盲愛
「はい…。でも私はずっと眠っていただけで…そんなに大変じゃなかったんです。
目が覚めたら、怪我も全部治ってたし…。
記憶が無いのも、ほんの1、2週間の事なので大丈夫です」

ユキ先生は「前向きね」と微笑んだ。

「そう…。退院してからずっと食欲がなくて、微熱があって疲れやすいって事ね…。
そして生理も無いと…」

「はい…。そうなんです。ずっと調子が良くなくて…」


「食欲がない、ムカムカする、微熱、疲れやすくて怠い…。
全部ね…それは、妊娠初期の…まあ…ごく一般的に起こる悪阻の症状だと思いますよ。
…先程の尿の検査でも、しっかりと出ていました。
おめでとうございます、似鳥 桃さん。
あなたは妊娠されていますよ」

ユキ先生は私に…綺麗なお顔でニッコリ笑ってそう言った…。


ユキ先生の言葉は…私にとって…私史上、過去最大の衝撃だった!

それは…大河が私の事を好きだと知った時以上の衝撃で…。

口をパクパクさせたまま、どうにも声が出ない。

数秒…数分かもしれない沈黙の後…。


「つ…悪阻……に…に…妊娠……って……先生……何かの間違いです!…だって…!」

私は一度大きく深呼吸をして…。


「だって!…わたし…まだ処女なんですよーーッ…‼︎」

と涙目で小さく叫んだのだった…。


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