極上御曹司のヘタレな盲愛
「今の彼とよく話し合って…」

ユキ先生の言葉が何度も胸の中で繰り返される。

…ユキ先生…。
今の彼って…私にとって、彼氏は大河しかいた事ないのよ…。


そこまで考えて…私はようやく気づいた…。


私……私は…大河と…すぐにでも別れなきゃいけないんだ…。


少し冷静になって考えてみれば…。

水島の直系御曹司の婚約者が、誰かもわからない人の子供を妊娠しているだなんて…。
週刊誌のネタになるような大スキャンダルだ。

…それは…ニタドリにとっても…。

何よりも…。
大河以外の人の赤ちゃんを妊娠している私が…いつまでも平気な顔をして大河の傍に居られるわけがない!


私は…早急に会社を辞めて家を出ないといけない…。
じゃないと、大河や家族や、多くの人に迷惑がかかる!

お腹がいつ頃大きくなってくるのか調べなければ…。

不思議と…赤ちゃんを産まないという選択肢は、少しも思い浮かばなかった。
それはユキ先生のあの言葉のせいだと思う。


…大河に…出来るだけ早く…お別れを言わなくてはいけない…。


ズキンと胸が痛んだ…。
胸が痛くて痛くて…張り裂けそう…。

どうしてなの…。
こんな時に気づくなんて…!


私…大河の事が…こんなに好きなんだ…。

…大好き…

私を包んでくれる大河の優しい腕を離したくない!

もう…意地悪なだけじゃないって…やっとわかったのに…。


でも…。
大好きだからこそ…。

大河に迷惑をかけないように…私は…大河と別れなくてはいけないんだ…。


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