極上御曹司のヘタレな盲愛
斎藤さんが口の横に手を当てて大きな高い声で言った。
「皆さ〜ん!注目して下さ〜い!嬉しい発表がありま〜す!」
「げっ!なんで?まさか!今ここでか!」
光輝が呟くのが聞こえた。
「⁉︎」
訳もわからず見ていると、悠太と花蓮の二人が受付チームの人達に背中をグイグイ押されて、戸惑っているような微妙な顔で輪の中央に並んだ。
「なんと!この度、お二人の婚約が正式に決まったそうで〜す!盛大な拍手を〜!」
ああ、花蓮は今日も本当に綺麗…と呑気に見ていた私は…。
「はっ⁇」
あんまり驚きすぎて息を吸う事も忘れた。
周りの拍手も、何か言っている斎藤さんの声も、斎藤さんに促されてみんなの前で何か話している悠太の声も…何も聞こえなかった。
その時、花蓮と目が合った。
「あ・と・で」
口の動きで花蓮がそう言ったのを理解した私はコクリと頷いた。
そういえば…。
創業記念の打ち上げの宴会の夜、人目につかない場所で手を繋いでいた花蓮と悠太の姿を思い出す。
二人…付き合っていたんだ…。
「お兄ちゃんはいつから知ってたの?」
「1ヶ月前くらいかな…。でも今日こんな風にみんなの前で発表するだなんて、聞いてなかった!」
「そう…。私だけ…知らなかったんだね…」
婚約というからには両親も勿論知っているのだろう。
双子の妹の婚約を、こんな形で知らされるなんて。
私の存在は似鳥の中で、なんて軽いんだろう。
ああ…『残念な方』だからか…。
なんだか悲しくなってしまった。
ヤバい。泣きそう。
でもダメだ!こんな所で泣いたらダメ!
どうにか息を吸い「あの…」と出した声は、震えていた。
「もうすぐ3時だから川にフルーツを取りに行ってくるね」
私は貼りついたような笑みを浮かべて、川の方にゆっくり歩き出した。
「私も手伝いますよ!」
「俺も行くよ!」
と言う恵利ちゃんと高橋君の声が同時に聞こえたので、大丈夫、自分一人で平気だからと断った。
とにかく早く1人になりたかった。
ゆっくり歩き出したのが、気づけば走っていて、川に着きスイカを沈めた所まで来た時には、ハァハァと息が上がっていた。
木の陰になっている大きな岩に腰を下ろし、サンダルを脱いで川に足をそっとつけた。
「冷たい…」
呟いた途端、涙がポタポタと溢れた。
もう…なんでこんなに悲しいんだろう。
家族の中で、私だけが大事な事を知らされず、仲間はずれみたいになっている事が悲しいのか。
ずっと小さい頃から私と花蓮を差別しないと思っていた悠太が…結局…花蓮を選んだ事が悲しいのか。
「ふ……う…ぅ」
どうしよう。
早くフルーツを取って戻らないといけないのに涙が止まらない!
目蓋も腫れて泣いた事がみんなにバレてしまうのに。
泣いた事がバレたら…。
『妹の婚約も、素直に喜べないのか』
またあの意地悪男に、捻くれ者のイジケ虫って言われちゃう。
でも涙が止まらない。
その時、背後でガサッと物音がした。
ハッと振り向くと、そこに大河がいた!
「皆さ〜ん!注目して下さ〜い!嬉しい発表がありま〜す!」
「げっ!なんで?まさか!今ここでか!」
光輝が呟くのが聞こえた。
「⁉︎」
訳もわからず見ていると、悠太と花蓮の二人が受付チームの人達に背中をグイグイ押されて、戸惑っているような微妙な顔で輪の中央に並んだ。
「なんと!この度、お二人の婚約が正式に決まったそうで〜す!盛大な拍手を〜!」
ああ、花蓮は今日も本当に綺麗…と呑気に見ていた私は…。
「はっ⁇」
あんまり驚きすぎて息を吸う事も忘れた。
周りの拍手も、何か言っている斎藤さんの声も、斎藤さんに促されてみんなの前で何か話している悠太の声も…何も聞こえなかった。
その時、花蓮と目が合った。
「あ・と・で」
口の動きで花蓮がそう言ったのを理解した私はコクリと頷いた。
そういえば…。
創業記念の打ち上げの宴会の夜、人目につかない場所で手を繋いでいた花蓮と悠太の姿を思い出す。
二人…付き合っていたんだ…。
「お兄ちゃんはいつから知ってたの?」
「1ヶ月前くらいかな…。でも今日こんな風にみんなの前で発表するだなんて、聞いてなかった!」
「そう…。私だけ…知らなかったんだね…」
婚約というからには両親も勿論知っているのだろう。
双子の妹の婚約を、こんな形で知らされるなんて。
私の存在は似鳥の中で、なんて軽いんだろう。
ああ…『残念な方』だからか…。
なんだか悲しくなってしまった。
ヤバい。泣きそう。
でもダメだ!こんな所で泣いたらダメ!
どうにか息を吸い「あの…」と出した声は、震えていた。
「もうすぐ3時だから川にフルーツを取りに行ってくるね」
私は貼りついたような笑みを浮かべて、川の方にゆっくり歩き出した。
「私も手伝いますよ!」
「俺も行くよ!」
と言う恵利ちゃんと高橋君の声が同時に聞こえたので、大丈夫、自分一人で平気だからと断った。
とにかく早く1人になりたかった。
ゆっくり歩き出したのが、気づけば走っていて、川に着きスイカを沈めた所まで来た時には、ハァハァと息が上がっていた。
木の陰になっている大きな岩に腰を下ろし、サンダルを脱いで川に足をそっとつけた。
「冷たい…」
呟いた途端、涙がポタポタと溢れた。
もう…なんでこんなに悲しいんだろう。
家族の中で、私だけが大事な事を知らされず、仲間はずれみたいになっている事が悲しいのか。
ずっと小さい頃から私と花蓮を差別しないと思っていた悠太が…結局…花蓮を選んだ事が悲しいのか。
「ふ……う…ぅ」
どうしよう。
早くフルーツを取って戻らないといけないのに涙が止まらない!
目蓋も腫れて泣いた事がみんなにバレてしまうのに。
泣いた事がバレたら…。
『妹の婚約も、素直に喜べないのか』
またあの意地悪男に、捻くれ者のイジケ虫って言われちゃう。
でも涙が止まらない。
その時、背後でガサッと物音がした。
ハッと振り向くと、そこに大河がいた!