極上御曹司のヘタレな盲愛
最終章 幸せの行方

大団円

大河は…追いかけてきてはくれなかった…。


当たり前だけど…。


私…とても酷い事を言ったもの…。

私の事を…ずっと子供の頃から好きだと言ってくれた大河に…。


でも…これで良かったんだ。
これで大河に迷惑をかけることもない。
大河は私とじゃなく…他の人と幸せになればいい…。
追いかけてくれなくて…本当に…よかった…。


そう思うのに…思わなきゃいけないのに!
どうしてこんなに涙が次から次へと溢れて止まらないんだろう…。

自分で別れを決めたんだ…。
どうせ大河と一緒にいたって、大河の目すら見られないくせに!

私以外の女の人と幸せになればいいと思った先から…大河が知らない女の人を抱きしめ、
愛しげに見つめている姿が心に浮かび…胸が引きちぎられるように痛む…。

道行く人が、ギョッとして引くぐらい…。

泣いて泣いて泣いて歩いて…電車に乗っても涙は止まらなくて…。

家の近くの公園のベンチでしばらく心が落ち着くのを待った。

こんな泣き顔を家族に見せて心配をかけたくない。

今夜の私には、もう一仕事残っているんだ。

家族に…会社を辞めて家を出る事…言わなくちゃ…。

ニタドリに…みんなに迷惑をかけないために!
特に…ゆくゆくは政治家の妻になる花蓮…。
どんなスキャンダルだってダメに決まってる。

だから…私は…。

会社を辞めて、誰にも知られず遠い場所で…ひっそりと一人で子供を産んで育てながら暮らそう…そう心に決めていた。

子供が少し大きくなったら働けばいい…。
大丈夫…それくらいの貯金や資産はある。

私…お嬢様でよかった…。

父親であるかもしれない高橋君にも、妊娠した事を言うつもりなんて毛頭なかった…。

愛し合った記憶もなく、好きだと思う気持ちも1ミリだってないのに、言えるわけない。

私の心は大河にしかない…。

誰にも何も言わずに、子供を一人で育てようって…この3日間…悩みに悩んで決心したんだ…。


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