極上御曹司のヘタレな盲愛
夫になる人の欄には、大河の名前や住所、本籍だの色々すでに、大河の大きな綺麗な字で記入されている。
ご丁寧に右側の証人の欄にも、私の父と大河のお父さんの名前や住所などがしっかり記入されていて印鑑まで押されていた。
婚姻届ってこんななんだ、初めて見たな…って、いや、違う!
妻になる人の欄だけぽっかり空いている紙。
ちょっと待って!
確かに大河は昨日の昼に川で『俺と結婚してくれ』って言った。
でもそれは花蓮にプロポーズするための練習じゃなかったの?
『ガキの頃からずっと好きだったのに、そんな簡単に諦められるかよ』って言ってたじゃん!
私は確かに中等部の頃学食で、高等部だった大河が花蓮の事を
「昔から俺のものだから手を出すな」って友人に牽制しているのを目撃した。
子供の頃から好きでしょうがないから絶対に諦めないって昨日大河から聞いたよね…。
だから応援したいって思ったのに…。
「あの…大河?なんか…間違ってない?」
「間違ってる?…ああ、順番?」
いや!コレを渡す相手を!
花蓮を落とす前に私と結婚しようって言ってるんだから、順番も間違えてはいるが…。
「まあ確かに返事はまだ聞いてないけど…とりあえず…結婚して?
近くにいたら、絶対に俺の事を好きにさせるからさ。
離れていたら、気持ちも伝わらないだろう…」
ん…?…とりあえず…?
つまり…。
離れていたら気持ちが伝わらないから…『とりあえず』花蓮と双子の姉の私と結婚しておいて、義兄という立場で花蓮の近くにいながら、長期計画で花蓮を落とすって事を言っているのだろうか…。
「多少、強引な手を使ってもいいってお前も言ったよな」
言った…確かに言った…けど…ここまでする?
で『とりあえず』結婚して…大河が頑張って花蓮を手に入れたら…。
最後にバツイチになった私が残りました…って?
ああそうか。
『残念な方』の人生なんて、そもそもどうでもいいのか。
大河は子供の頃からずっと私に意地悪だったけど…これは史上最高の意地悪だね…。
証人欄に記入した父と大河のお父さんは、これをどんな気持ちで書いたんだろうか。
「お父さん。この証人の欄って…。大河の子供の頃からの想いを汲んで書いたの?」
と父に訊く。
「ああ、そうだよ」
父は大きく頷き、大河が一瞬、頬を赤くするのが見えた。
ああそうか…。
父と大河のお父さんは、大河の花蓮への気持ちを知っていてこれを書いたんだ。
そのうち、大河が子供の頃からの想いを叶えて花蓮を得られればいいって…。
そのために私が踏み台になるのは構わないって…。
「お前、ガキの頃からめちゃめちゃ惚れてたからな。小学生の時だっけ?嫁にくれって俺に初めて言ったのは…」
無神経にワハハと笑う父と、照れ臭そうに鼻の頭を掻いている大河。
そんな2人を見ながらなんだか泣きたくなってきた。
そうよね。子供の頃から…私の周りの世界は全て花蓮中心で回っている。
子供の頃から選ぶのはいつでも花蓮で…選ばれるのもいつでも花蓮…。
花蓮は大輪の薔薇の花…私は芋虫のついた秋桜。
凡人の私には何も選ぶ権利なんてない。
自分の人生の選択だってできやしない。
『残念な方』の人生なんて、時期が来たら用済み、ポイ捨てでもしょうがないよね。
どうせ好きな人も居ないし、私を好きになってくれる人も居ない…。
大河が言うように『とりあえず』結婚して、大河に頑張って花蓮を落としてもらって離婚して、慰謝料を沢山貰って一人で悠々自適に暮らすのもいいか…。
悠太も可哀想だけど、父がもう大河の味方なんだもん、しょうがないよ。
ペンを強引に握らされ、みんなが見つめる中…。
まあいいか、大河が言うように『とりあえず』結婚くらい…って。
ご丁寧に右側の証人の欄にも、私の父と大河のお父さんの名前や住所などがしっかり記入されていて印鑑まで押されていた。
婚姻届ってこんななんだ、初めて見たな…って、いや、違う!
妻になる人の欄だけぽっかり空いている紙。
ちょっと待って!
確かに大河は昨日の昼に川で『俺と結婚してくれ』って言った。
でもそれは花蓮にプロポーズするための練習じゃなかったの?
『ガキの頃からずっと好きだったのに、そんな簡単に諦められるかよ』って言ってたじゃん!
私は確かに中等部の頃学食で、高等部だった大河が花蓮の事を
「昔から俺のものだから手を出すな」って友人に牽制しているのを目撃した。
子供の頃から好きでしょうがないから絶対に諦めないって昨日大河から聞いたよね…。
だから応援したいって思ったのに…。
「あの…大河?なんか…間違ってない?」
「間違ってる?…ああ、順番?」
いや!コレを渡す相手を!
花蓮を落とす前に私と結婚しようって言ってるんだから、順番も間違えてはいるが…。
「まあ確かに返事はまだ聞いてないけど…とりあえず…結婚して?
近くにいたら、絶対に俺の事を好きにさせるからさ。
離れていたら、気持ちも伝わらないだろう…」
ん…?…とりあえず…?
つまり…。
離れていたら気持ちが伝わらないから…『とりあえず』花蓮と双子の姉の私と結婚しておいて、義兄という立場で花蓮の近くにいながら、長期計画で花蓮を落とすって事を言っているのだろうか…。
「多少、強引な手を使ってもいいってお前も言ったよな」
言った…確かに言った…けど…ここまでする?
で『とりあえず』結婚して…大河が頑張って花蓮を手に入れたら…。
最後にバツイチになった私が残りました…って?
ああそうか。
『残念な方』の人生なんて、そもそもどうでもいいのか。
大河は子供の頃からずっと私に意地悪だったけど…これは史上最高の意地悪だね…。
証人欄に記入した父と大河のお父さんは、これをどんな気持ちで書いたんだろうか。
「お父さん。この証人の欄って…。大河の子供の頃からの想いを汲んで書いたの?」
と父に訊く。
「ああ、そうだよ」
父は大きく頷き、大河が一瞬、頬を赤くするのが見えた。
ああそうか…。
父と大河のお父さんは、大河の花蓮への気持ちを知っていてこれを書いたんだ。
そのうち、大河が子供の頃からの想いを叶えて花蓮を得られればいいって…。
そのために私が踏み台になるのは構わないって…。
「お前、ガキの頃からめちゃめちゃ惚れてたからな。小学生の時だっけ?嫁にくれって俺に初めて言ったのは…」
無神経にワハハと笑う父と、照れ臭そうに鼻の頭を掻いている大河。
そんな2人を見ながらなんだか泣きたくなってきた。
そうよね。子供の頃から…私の周りの世界は全て花蓮中心で回っている。
子供の頃から選ぶのはいつでも花蓮で…選ばれるのもいつでも花蓮…。
花蓮は大輪の薔薇の花…私は芋虫のついた秋桜。
凡人の私には何も選ぶ権利なんてない。
自分の人生の選択だってできやしない。
『残念な方』の人生なんて、時期が来たら用済み、ポイ捨てでもしょうがないよね。
どうせ好きな人も居ないし、私を好きになってくれる人も居ない…。
大河が言うように『とりあえず』結婚して、大河に頑張って花蓮を落としてもらって離婚して、慰謝料を沢山貰って一人で悠々自適に暮らすのもいいか…。
悠太も可哀想だけど、父がもう大河の味方なんだもん、しょうがないよ。
ペンを強引に握らされ、みんなが見つめる中…。
まあいいか、大河が言うように『とりあえず』結婚くらい…って。