極上御曹司のヘタレな盲愛
「……って、書けるかーーーーっ!」
ちゃぶ台(ないけど…)をひっくり返す勢いで私は立ち上がると。
「無理!無理!無理!絶対に無理!」
とペンを放り出した。
「結婚なんて絶対に無理!」
何のために今までずっと大河を避けてきたと思ってるの?
出来るだけ誰にも何も言われないように、平穏無事な毎日を送る事が出来るようにじゃない!
大河なんて、会社にも狂信的なフアンが多いのに…。
同期だった麻美ちゃんや、営業アシのお姉様方、受付チームの斎藤さん達の顔が次々と浮かぶ。
いくらいっ時でも結婚なんて無理だよ!
愛もない、とりあえずの結婚のために呪い殺されるなんてまっぴらだ!
「そんなに結婚したいなら、お兄ちゃんと結婚すればいいじゃん!」
光輝がブッと紅茶を吹き出した。
いつも仲良いし、花蓮の近くに居られるし、それでいいじゃん!
「どアホぅか、お前は!なんで俺が光輝と結婚するんだよ!寒い事を言うな!
いいか?お前と俺が結婚する事は、もう決定事項なんだ。往生際が悪いんだよ!」
そんなぁ…。
私は助けを求めて周りを見るが、みんな私から目を逸らし、態と視線が合わないようにしている。
悠太!いいの?花蓮を取られちゃうよ!
必死で悠太と目を合わせようとするが…合わない。
「そうよ」
今まで黙っていた母が言う。
「桃ちゃんの荷物、全部もう大河君ちに運んじゃったし…。今更、結婚が嫌だって言われてもねぇ。
もう、我儘言わないのよっ」
はっ?
今、なんて言った?
私の部屋の荷物、全部大河の家に運んだ?
信じられない…。
だいたい私は、大河がどこに住んでいるのかも知らない。
大学を出てから一人暮らしをしている事くらいしか知らないよ。
「大丈夫。俺の家の方は航我が全部手配してくれてる筈だから。準備はバッチリだ」
航我君は私より1つ下の大河の弟だ。
「今日から俺の家に住んで、明日の朝一緒に役所に行って婚姻届を出そう」
「はぁ?明日?とにかく準備万端だろうが何だろうが、結婚なんて無理よ!」
「……」
大河の眉間の皺が深くなる。
そんなに怖い顔をしたって、無理なものは無理なんだもん!
「…わかった…」
え?無理だってわかってくれたの?
「わかった…。じゃあ、婚姻届を出すまでに3ヶ月の猶予をやる。
3ヶ月経ったら役所に提出する。
3ヶ月で俺が気持ちを変えてやる!
全力で落として見せるから覚悟しろ!」
私以外の全員が「おー〜」とパチパチ拍手をした。
悠太、呑気すぎない?
つまり3ヶ月間、大河は花蓮を全力で落としにいって、無理だったら3ヶ月後に、ずっと花蓮の近くにいるために『とりあえず』私と結婚して花蓮の義兄となり、側にいながら長期計画で落とす、という事なのだろうか…。
ややこしいな…。
じゃあ、ぜひこの3ヶ月で必ず落として!
「わかった。3ヶ月間頑張って…なんとかしてね」
じゃ、私の荷物返してもらってもいいよね?と問うと、ダメだと言う。
「せっかく運んだのに戻すわけないだろう。俺はこう見えて形にこだわるんだ!
お前は今日から俺の婚約者として、俺の家で一緒に住むんだよ。
じゃないとお前、また逃げるだろう。
それが嫌なら猶予は無しだ。明日の朝婚姻届を出しに行く!」
「はぁ?なんでーー?」
言っている事、滅茶苦茶だって!おかしいって!
でも明日結婚は絶対に嫌!
んーー!
私が頭を抱えているうちに、大河はテーブルの上の婚姻届を丁寧に4つ折りにし、立ち上がる。
「じゃあ、そういう事で…。おじさん、おばさん。急な事だったのに色々協力してくれてありがとう」
と両親に挨拶をすると、私の手首をガシッと掴んだ。
「おう、大河、頑張れよ」
「桃ちゃんはちゃんとお料理出来るように育て上げたんだから、大河君に美味しいご飯をたくさん作ってあげなさいよ」
父と母のエールと、光輝、花蓮、悠太の何とも言えない温い笑顔に送られて、私は大河に連行されてしまった…。
ちゃぶ台(ないけど…)をひっくり返す勢いで私は立ち上がると。
「無理!無理!無理!絶対に無理!」
とペンを放り出した。
「結婚なんて絶対に無理!」
何のために今までずっと大河を避けてきたと思ってるの?
出来るだけ誰にも何も言われないように、平穏無事な毎日を送る事が出来るようにじゃない!
大河なんて、会社にも狂信的なフアンが多いのに…。
同期だった麻美ちゃんや、営業アシのお姉様方、受付チームの斎藤さん達の顔が次々と浮かぶ。
いくらいっ時でも結婚なんて無理だよ!
愛もない、とりあえずの結婚のために呪い殺されるなんてまっぴらだ!
「そんなに結婚したいなら、お兄ちゃんと結婚すればいいじゃん!」
光輝がブッと紅茶を吹き出した。
いつも仲良いし、花蓮の近くに居られるし、それでいいじゃん!
「どアホぅか、お前は!なんで俺が光輝と結婚するんだよ!寒い事を言うな!
いいか?お前と俺が結婚する事は、もう決定事項なんだ。往生際が悪いんだよ!」
そんなぁ…。
私は助けを求めて周りを見るが、みんな私から目を逸らし、態と視線が合わないようにしている。
悠太!いいの?花蓮を取られちゃうよ!
必死で悠太と目を合わせようとするが…合わない。
「そうよ」
今まで黙っていた母が言う。
「桃ちゃんの荷物、全部もう大河君ちに運んじゃったし…。今更、結婚が嫌だって言われてもねぇ。
もう、我儘言わないのよっ」
はっ?
今、なんて言った?
私の部屋の荷物、全部大河の家に運んだ?
信じられない…。
だいたい私は、大河がどこに住んでいるのかも知らない。
大学を出てから一人暮らしをしている事くらいしか知らないよ。
「大丈夫。俺の家の方は航我が全部手配してくれてる筈だから。準備はバッチリだ」
航我君は私より1つ下の大河の弟だ。
「今日から俺の家に住んで、明日の朝一緒に役所に行って婚姻届を出そう」
「はぁ?明日?とにかく準備万端だろうが何だろうが、結婚なんて無理よ!」
「……」
大河の眉間の皺が深くなる。
そんなに怖い顔をしたって、無理なものは無理なんだもん!
「…わかった…」
え?無理だってわかってくれたの?
「わかった…。じゃあ、婚姻届を出すまでに3ヶ月の猶予をやる。
3ヶ月経ったら役所に提出する。
3ヶ月で俺が気持ちを変えてやる!
全力で落として見せるから覚悟しろ!」
私以外の全員が「おー〜」とパチパチ拍手をした。
悠太、呑気すぎない?
つまり3ヶ月間、大河は花蓮を全力で落としにいって、無理だったら3ヶ月後に、ずっと花蓮の近くにいるために『とりあえず』私と結婚して花蓮の義兄となり、側にいながら長期計画で落とす、という事なのだろうか…。
ややこしいな…。
じゃあ、ぜひこの3ヶ月で必ず落として!
「わかった。3ヶ月間頑張って…なんとかしてね」
じゃ、私の荷物返してもらってもいいよね?と問うと、ダメだと言う。
「せっかく運んだのに戻すわけないだろう。俺はこう見えて形にこだわるんだ!
お前は今日から俺の婚約者として、俺の家で一緒に住むんだよ。
じゃないとお前、また逃げるだろう。
それが嫌なら猶予は無しだ。明日の朝婚姻届を出しに行く!」
「はぁ?なんでーー?」
言っている事、滅茶苦茶だって!おかしいって!
でも明日結婚は絶対に嫌!
んーー!
私が頭を抱えているうちに、大河はテーブルの上の婚姻届を丁寧に4つ折りにし、立ち上がる。
「じゃあ、そういう事で…。おじさん、おばさん。急な事だったのに色々協力してくれてありがとう」
と両親に挨拶をすると、私の手首をガシッと掴んだ。
「おう、大河、頑張れよ」
「桃ちゃんはちゃんとお料理出来るように育て上げたんだから、大河君に美味しいご飯をたくさん作ってあげなさいよ」
父と母のエールと、光輝、花蓮、悠太の何とも言えない温い笑顔に送られて、私は大河に連行されてしまった…。