極上御曹司のヘタレな盲愛
同期の告白
会社の最寄駅の改札を出て暫く歩いたところで
「桃ちゃん!おはよう!」
と後ろから声をかけられた。
「あ!高橋君おはよう!昨日はありがとうね」
「こちらこそありがとう。あれ?桃ちゃん、いつもこの時間の電車だっけ?」
と訊かれ、ギクリとする。
「ああ、うん…」
「そうなんだ!今まで会わなかったね」
高橋君は朝から爽やかな笑顔で言った。
「昨日のテニス本当に楽しかったよ!桃ちゃんがあんなにテニス上手いとは知らなかった」
私は中、高とテニス部で、高等部の時に全国まで行った事を言う。
「え?俺も同じ!中、高とテニス部で、静岡県代表で全国に行ったよ!
タメだし、どっかで会ってたかもしれないね」
あ、俺の実家、富士山の麓で旅館やってるんだと言う高橋君と、テニスと富士山の話で盛り上がりながら会社のエントランスをくぐった。
朝のエレベーターは激混みだ。
4階にある女子更衣室に、私はいつも階段で上がることにしている。
その方が誰かに会う確率も低いし、健康にも良い。
基本、就業中もエレベーターより階段派だ。
ダイエットにもなるしね。
エレベーターに向かう高橋君に
「じゃあね」
と言って別れようとすると…。
「桃ちゃん、階段で行くの?じゃあ、俺も階段で上がろう」
「え?7階の営業までだと大変でしょ?朝から汗かくよ!」
「昨日久しぶりにテニスをやったら運動不足を痛感したんだ」
「ああ確かに…。私も体力落ちたなって昨日感じたよ」
誕生日が来ると25歳になり、四捨五入すると30だもんねと2人で苦笑する。
今は夏。
階段室にはエアコンが効いていないので、朝とはいえこの暑いのにわざわざ階段を使う人もなく、誰にも会わずに4階に着いた。
「じゃあ…仕事頑張ろうね」
高橋君に言うと、非常扉のノブに手をかけた。
「桃ちゃん!」
高橋君に強めに呼び止められてビクッとする。
「な、なに?」
「あのさ…あの…」
「?」
「桃ちゃん、今誰か付き合ってる人いる?」
「…いないけど…」
付き合ってる人はいない…。
不本意ながら自称婚約者は昨日から居るけど…。
「じゃあさ、あの…」
高橋君は扉の方に向いていた私の腕を引いて自分の方に向かせると、大きく深呼吸してから言った。
「俺は桃ちゃんの事が好きです!前から好きかもって思っていたけど、慰安旅行で一緒にバーベキューやテニスをしたりして確信したよ。俺は桃ちゃんの事が…大好きです!
だから…!俺と結婚を前提に付き合ってください!」
た…高橋君が…私を…好き…?
結婚を前提に…付き合う…?
私の事を…好き…?
花蓮じゃなくて…私の事を…?
何か言わなくっちゃ…と口を開こうとした私に…。
「あ!待って!返事は今しないで!
今もし断られたら、俺一日中仕事にならない。今日は大事な商談があるんだ」
高橋君は、サラッサラの茶髪をかきあげるとへへへと笑った。
「桃ちゃん、明日の定時後は暇?」
コクコクと頷く。
「じゃ、夜飯を一緒に食べに行こうよ。返事はその時にして。今日は俺の事いっぱい考えててね」
高橋君は笑って言うと、階段を一段飛ばしで上がっていってしまった。
「……は!時間!」
慌てて時計を見ると、始業時間まで10分を大幅に切っていた。
いつもなら席に着いて端末を立ち上げて仕事を始めている時間だ。
私は急いで更衣室に行き制服に着替えると、ギリギリで2階の総務部フロアに駆け込む。
庶務係の自席にたどり着いた時には息も絶え絶えだった。
「桃ちゃん!おはよう!」
と後ろから声をかけられた。
「あ!高橋君おはよう!昨日はありがとうね」
「こちらこそありがとう。あれ?桃ちゃん、いつもこの時間の電車だっけ?」
と訊かれ、ギクリとする。
「ああ、うん…」
「そうなんだ!今まで会わなかったね」
高橋君は朝から爽やかな笑顔で言った。
「昨日のテニス本当に楽しかったよ!桃ちゃんがあんなにテニス上手いとは知らなかった」
私は中、高とテニス部で、高等部の時に全国まで行った事を言う。
「え?俺も同じ!中、高とテニス部で、静岡県代表で全国に行ったよ!
タメだし、どっかで会ってたかもしれないね」
あ、俺の実家、富士山の麓で旅館やってるんだと言う高橋君と、テニスと富士山の話で盛り上がりながら会社のエントランスをくぐった。
朝のエレベーターは激混みだ。
4階にある女子更衣室に、私はいつも階段で上がることにしている。
その方が誰かに会う確率も低いし、健康にも良い。
基本、就業中もエレベーターより階段派だ。
ダイエットにもなるしね。
エレベーターに向かう高橋君に
「じゃあね」
と言って別れようとすると…。
「桃ちゃん、階段で行くの?じゃあ、俺も階段で上がろう」
「え?7階の営業までだと大変でしょ?朝から汗かくよ!」
「昨日久しぶりにテニスをやったら運動不足を痛感したんだ」
「ああ確かに…。私も体力落ちたなって昨日感じたよ」
誕生日が来ると25歳になり、四捨五入すると30だもんねと2人で苦笑する。
今は夏。
階段室にはエアコンが効いていないので、朝とはいえこの暑いのにわざわざ階段を使う人もなく、誰にも会わずに4階に着いた。
「じゃあ…仕事頑張ろうね」
高橋君に言うと、非常扉のノブに手をかけた。
「桃ちゃん!」
高橋君に強めに呼び止められてビクッとする。
「な、なに?」
「あのさ…あの…」
「?」
「桃ちゃん、今誰か付き合ってる人いる?」
「…いないけど…」
付き合ってる人はいない…。
不本意ながら自称婚約者は昨日から居るけど…。
「じゃあさ、あの…」
高橋君は扉の方に向いていた私の腕を引いて自分の方に向かせると、大きく深呼吸してから言った。
「俺は桃ちゃんの事が好きです!前から好きかもって思っていたけど、慰安旅行で一緒にバーベキューやテニスをしたりして確信したよ。俺は桃ちゃんの事が…大好きです!
だから…!俺と結婚を前提に付き合ってください!」
た…高橋君が…私を…好き…?
結婚を前提に…付き合う…?
私の事を…好き…?
花蓮じゃなくて…私の事を…?
何か言わなくっちゃ…と口を開こうとした私に…。
「あ!待って!返事は今しないで!
今もし断られたら、俺一日中仕事にならない。今日は大事な商談があるんだ」
高橋君は、サラッサラの茶髪をかきあげるとへへへと笑った。
「桃ちゃん、明日の定時後は暇?」
コクコクと頷く。
「じゃ、夜飯を一緒に食べに行こうよ。返事はその時にして。今日は俺の事いっぱい考えててね」
高橋君は笑って言うと、階段を一段飛ばしで上がっていってしまった。
「……は!時間!」
慌てて時計を見ると、始業時間まで10分を大幅に切っていた。
いつもなら席に着いて端末を立ち上げて仕事を始めている時間だ。
私は急いで更衣室に行き制服に着替えると、ギリギリで2階の総務部フロアに駆け込む。
庶務係の自席にたどり着いた時には息も絶え絶えだった。