極上御曹司のヘタレな盲愛
「私達が気づいた時には、もうその靴…そんな風になっててぇ…。桃さんが見て傷ついちゃったら可哀想だからぁ…洗って綺麗にしてあげようとしていただけですよぅ。まさか、それ私達がやったって勘違いしていませんかぁ?もぉ、誤解したら嫌ですよぉ。ね〜っ」

「そ…そうですよぉ〜。ねっ!」
「う…うん!」
「そ…そう!」

「ふぅん。じゃ君達は、桃が傷つくってわかっててこんな事をしたんだね」

「だからぁ…」

「あのね…。見苦しいよ…」

光輝がハァと溜息を吐いて、さっき撮った動画を再生させた。

自分達が楽しそうに桃の靴にイタズラをしている所がバッチリ映っている事に気づいた女達は、また青ざめて震えている。

花蓮が証拠を集めろって言っていた意味がよくわかった…。
斎藤紫織は一筋縄ではいかない。

「君達がやっている所、ちゃんと映ってるでしょ。言い逃れはできないよ」

「他にもたくさんあるぜ…」

俺は女達に、集めた数々の証拠動画を見せる。

「ど…どうしてそんな動画ばっかり…!」
斎藤紫織が唇をワナワナ震わせながら言う。

「ちょっと協力して欲しいって方々に頼んだら、みんないっぱい撮って送ってくれたぜ。
あんた達、本当に精力的に張り切ってほぼ毎日、堂々と桃に嫌がらせをしてたからな…。
まだまだあるけど、全部見たいか?」

「……!」

「やっぱり証拠を集めておいて正解だったね…。こんなにシレッと嘘を吐くんだもん。イジメを認めたくない教師達なんか、すぐに騙されてしまうよ」

「それにしても…あんただけ…全部の現場に映ってるな…。すげぇよ、斎藤紫織サン…」

心の底から軽蔑しながら俺は言う。

斎藤紫織は青くなったり赤くなったり忙しかったが、俺が声をかけると…なぜか頬を染め…嬉しそうにした…。
本当によくわからない女だ…。

「あのさ…イジメって言ったら、幼稚で軽くなっちゃうけど…。
君達がうちの妹にやっている事…コレ全部、れっきとした犯罪だって思わない?窃盗…器物破損…名誉毀損とか…あ!君達のトークアプリの内容も凄いね。全部、桃の悪口で、しかも無いことばっか!
見ていると本当に気分が悪くなるよ。コレも手に入れたんだけど…見る?」

光輝がスマホを女達に見せる。

「どうしようかな…。うちの顧問弁護士に頼んで、君達と親御さんを訴えてもいいけど…。中学生なんか訴えても、どうせ大した罪にもならないから…コレ全部、顔と名前出してネットで拡散させるって手もあるけど…」

「ふっ…すぐに住所も学校も特定されて、凄い事になるだろうな…」

光輝の言葉に、俺が冷たく嗤うと

「「ひぃぃ……っ」」
斎藤紫織以外の女達は、声にならない悲鳴をあげて震えだした。


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