極上御曹司のヘタレな盲愛
第3章 陥落
捕獲
「おはよう」
昨日の朝と同じ時間の電車で会社の最寄駅に着くと、改札を出た所で高橋君にまた会った。
「おはよう…」
目が合うと、昨日の告白を思い出し2人で赤くなった。
男の人に好きだって言われたの初めてだし、なんか恥ずかしい。
必然的に会社まで肩を並べて歩く事になってしまった。
「今日、晩飯行けそう?」
「うん、大丈夫よ」
「桃ちゃんは何が好き?何が食べたい?」
「ん〜…昨日の夕飯、コンビニのおにぎりとお茶だったから今なら何でも美味しく食べられるかも」
「え!コンビニのおにぎりって」
「ガッカリした?」
「ガッカリなんてしないよ!
昨日から桃ちゃんをどんな店に誘おうかずっと悩んでたんだ…。その…社長のお嬢さんだからいつも美味しいものばかり食べているんじゃないかって…」
高橋君は朝からアイドルみたいに爽やかな顔でニコッと笑った。
「社長の娘って言っても普通のものを食べてるよ。居酒屋とか普通に行くし。さすがに、夕飯にコンビニのおにぎりなんていつもは無いけど。…実は私…今…家出中だから…」
「え〜?家出中?そっちのがビックリしたよ!一体何があったの?」
「ああ…うん…」
笑顔が苦笑に変わる。
「日曜日に慰安旅行から帰ってみたら家で色々…ホントに色々あって…」
「嫌な事が…?」
「嫌な事っていうか…ちょっと信じられないような事…」
そんな話をしているうちに会社に着いた。
ロビーを横切って階段室の方に向かうと、高橋君も一緒についてきた。
途中でスマホの番号交換をして、晩御飯に何を食べようか話していると、3階と4階の間の踊り場で高橋君が訊いてきた。
「そういえば、昨日は家出してどこに泊まったの?庶務係の…森山さんの家とか?」
「ううん、○○駅近くのビジネスホテルに…今日も…」
その時…見上げた4階…更衣室のあるフロアに続く非常口の扉に凭れて…。
腕組みをして…ドス黒いオーラを纏って立っている…美麗な『鬼』を見つけた…。
「!」
私は上ってきた階段を駆け下りようと、踵を返したが…。
「桃ちゃん⁉︎」
と驚いた高橋君に腕をとられた。
「放して‼︎」
「高橋‼︎その家出娘、捕まえておけ‼︎絶対に放すなよ!」
「えっ⁉︎」
上司命令を律儀に守った高橋君は、腕を放してはくれなかった。
大河は長い足で踊り場まであっという間に下りてくると、私の手首をギュッと握った。
それを見てキュッと眉根を寄せた高橋君に目を向け
「ありがとう。もう放してもいいぞ」
と言いながらスマホを片手で操作し、電話をしだした。
「悠太?俺。…ああ、桃を捕まえた。始業時間には間に合いそうもないから宜しく頼む…」
「桃ちゃん…なんか…ごめんな」
高橋君が申し訳なさそうに小声で謝ってくるので、私は首を横に振った。
「大丈夫。こっちこそごめんね…」
大河は悠太と電話を終えると
「悪いな、高橋。こいつと話があるから…行ってくれ」
と言った。
高橋君は心配そうに私を見る。
「わかりました。じゃあ桃ちゃん、また帰りにね。下で18時半に…」
「うん、わかった」
私が短く返事をすると、高橋君は非常扉を開けてまた心配そうに振り返り、扉の向こうに消えていった。
昨日の朝と同じ時間の電車で会社の最寄駅に着くと、改札を出た所で高橋君にまた会った。
「おはよう…」
目が合うと、昨日の告白を思い出し2人で赤くなった。
男の人に好きだって言われたの初めてだし、なんか恥ずかしい。
必然的に会社まで肩を並べて歩く事になってしまった。
「今日、晩飯行けそう?」
「うん、大丈夫よ」
「桃ちゃんは何が好き?何が食べたい?」
「ん〜…昨日の夕飯、コンビニのおにぎりとお茶だったから今なら何でも美味しく食べられるかも」
「え!コンビニのおにぎりって」
「ガッカリした?」
「ガッカリなんてしないよ!
昨日から桃ちゃんをどんな店に誘おうかずっと悩んでたんだ…。その…社長のお嬢さんだからいつも美味しいものばかり食べているんじゃないかって…」
高橋君は朝からアイドルみたいに爽やかな顔でニコッと笑った。
「社長の娘って言っても普通のものを食べてるよ。居酒屋とか普通に行くし。さすがに、夕飯にコンビニのおにぎりなんていつもは無いけど。…実は私…今…家出中だから…」
「え〜?家出中?そっちのがビックリしたよ!一体何があったの?」
「ああ…うん…」
笑顔が苦笑に変わる。
「日曜日に慰安旅行から帰ってみたら家で色々…ホントに色々あって…」
「嫌な事が…?」
「嫌な事っていうか…ちょっと信じられないような事…」
そんな話をしているうちに会社に着いた。
ロビーを横切って階段室の方に向かうと、高橋君も一緒についてきた。
途中でスマホの番号交換をして、晩御飯に何を食べようか話していると、3階と4階の間の踊り場で高橋君が訊いてきた。
「そういえば、昨日は家出してどこに泊まったの?庶務係の…森山さんの家とか?」
「ううん、○○駅近くのビジネスホテルに…今日も…」
その時…見上げた4階…更衣室のあるフロアに続く非常口の扉に凭れて…。
腕組みをして…ドス黒いオーラを纏って立っている…美麗な『鬼』を見つけた…。
「!」
私は上ってきた階段を駆け下りようと、踵を返したが…。
「桃ちゃん⁉︎」
と驚いた高橋君に腕をとられた。
「放して‼︎」
「高橋‼︎その家出娘、捕まえておけ‼︎絶対に放すなよ!」
「えっ⁉︎」
上司命令を律儀に守った高橋君は、腕を放してはくれなかった。
大河は長い足で踊り場まであっという間に下りてくると、私の手首をギュッと握った。
それを見てキュッと眉根を寄せた高橋君に目を向け
「ありがとう。もう放してもいいぞ」
と言いながらスマホを片手で操作し、電話をしだした。
「悠太?俺。…ああ、桃を捕まえた。始業時間には間に合いそうもないから宜しく頼む…」
「桃ちゃん…なんか…ごめんな」
高橋君が申し訳なさそうに小声で謝ってくるので、私は首を横に振った。
「大丈夫。こっちこそごめんね…」
大河は悠太と電話を終えると
「悪いな、高橋。こいつと話があるから…行ってくれ」
と言った。
高橋君は心配そうに私を見る。
「わかりました。じゃあ桃ちゃん、また帰りにね。下で18時半に…」
「うん、わかった」
私が短く返事をすると、高橋君は非常扉を開けてまた心配そうに振り返り、扉の向こうに消えていった。