極上御曹司のヘタレな盲愛
そのままワゴンを押して
「お飲み物はいかがですか？」
と声をかけつつ、4、5人くらいの女性社員の横を通り過ぎようとした時だった。

「社長の娘さんがこんな所で何をやっているのかしら」

「家族の皆さんあそこにいらっしゃるのにね。なんだか可愛そう」

「実は社長の本当の娘じゃなかったりして。そんな噂も一時あったわよね」

「ヤァだ。シャレにならないわよ。フフフ」

「それにしても！さっきの乾杯の時のアレ！いったいなんなのかしら」

「ねぇ。両手に花とでも思っているんじゃないの？」

「じゃ、社長の娘っていうのは本当じゃない？だって社長の娘じゃなかったらこんな地味で冴えない子に、あのお二人だってわざわざ声をかけたりしないでしょう」

「そうよね。受付のあちらの双子のもう片方程綺麗だったらわかるけどね」

「『双子の残念な方』って誰が最初に言ったか知らないけど、よく言ったものよねぇ。ホント可哀想。私だったら恥ずかしくて同じ会社になんて居られないわ」

クスクスと私の方を見ながら笑っているのは、綺麗に着飾りメイクもバッチリの営業２課のアシスタントの人達だった。

…またか…。
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