極上御曹司のヘタレな盲愛
初めて私の事を好きだと自覚したのが5歳の頃だった事。

私の困り顔が大好きで…色々なイタズラや意地悪を仕掛けていた事。

私に玩具のゴキブリを投げて泣かせた後、私の父に『ガキ』って言われて悔しかった事。

その時に私を嫁にくれと父に頼んだが、意地悪ばかりする大河を私が嫌いだと言ったら嫁にはやらないと言われて、心を改めようと思った事。

誕生日に大河のおばさまが準備した薔薇の花束…。私にだけは自分で摘んだコスモスをあげたいと思った事。

私には薔薇よりもフワフワ揺れるコスモスの方が可愛くて似合うと思った…と大河は頬を赤らめて言った。

そのコスモスに芋虫がついていた事は、今の今まで知らず…決して意地悪ではなかった事。

私が悠太に懐いているのが悔しくて…私に憎らしい事を言ってしまっていた事。

その頃から、私が悠太の事を好きなのではないかと焦り始めた事。

高等部の時…学食で部活仲間にその頃中等部で(主に花蓮が)話題だった幼馴染の双子の『姉と妹』のどっちが好きかと訊かれ、私の事だと思って『双子の妹の方』だと答えてしまった事。

それを私に聞かれてしまった事。

後で姉妹を逆に思っていた勘違いをみんなに指摘されて、訂正しようと私を探し回ったが見つからず、その後、私が徹底的に大河を避けるようになってしまったため訂正する事が出来ず、そのままになってしまった事。

何より…。

私の事を『双子の残念な方』と…言ったことも思ったことも…今まで一回もないという事。

私が中等部、高等部まで…私の事を好きだったり近づいたりする男子は呼び出し、威嚇して悉く潰し、男子が出来るだけ私に接触しないようにさせていた事。

「じゃあ、もしかして…私が高等部に上がってすぐに仲良くなった外部編入の男の子も…」

「ああ、内部進学の野郎どもには手出しをさせないようにずっとしてたのに…。
外部から編入してきた奴と、桃が毎日一緒に下校してるって噂を聞いて慌てた。
花蓮に何とかしろよって言ったら…どうやったか知らないけど、花蓮の友人とそいつが付き合い始めて…すぐにお前から離れたから安心した…」

ほら…受付のケバくてウザい女…と大河が言う。
斎藤さんだ…。
大河ってば、そんな事してたんだ…。

私は開いた口がしばらく塞がらなかった。


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