極上御曹司のヘタレな盲愛
大河が大学を卒業して、光輝たちとニタドリに就職してから…大河は光輝とすぐにアメリカ赴任になったため、弟の航我君を買収して、私に近づく男がいないかチェックさせ…追い払わせていた事。

そういえば…航我君とは学生の頃ずっと同じテニス部だったが、大学に上がってからも航我君が私のそばに居る事が多かった。

テニス部の後輩だったし、勉強を教えて欲しいとか…美味しいお菓子を貰ったから一緒に食べようとか…何だかんだ言われて学食でもよく一緒に居た。

アレが大河に買収されて私を見張っていたのだとは…。

どうりで勉強を教えてと言いながら、わからない所など無さそうだったわけだ…。

お陰で私は、下級生の女子からも敵視されていた…。


大学を卒業する時、大河は水島の系列グループ会社に入り、ゆくゆくはそこの社長…更にその上に…と言われていたのだが。
水島のお祖父様に、私と将来絶対に結婚したいが、現在徹底的に自分を避けている私と関係を絶たないでそばに居たい…その為に似鳥の会社で働きたい、と申し出た事。

水島のお祖父様から30歳になるまでに私との事をなんとかしろと言われ、その後すぐに水島に戻るように言われている事。

大河のお父様も、大河が水島のお仕事を一部手伝う事を条件に許した事。

それをうちの両親も認めたが、アメリカ駐在中に光輝と向こうで、MBAを始め数々の資格を取る事を約束させられたらしい。

「祖父さんは厳しい人だけど、結局桃が絡むと甘いんだよ…。自分が桃のお祖母さんを得られなかったから、俺に賭けているというか…。
結婚して桃が自分の孫になったらどうなるんだろ…あの人」

知らなかった…。
そんな決め事が、私の全く知らない所で交わされていようとは…。

「でも…会社に入ってがむしゃらに仕事をして…ようやく桃たちが入社してくるからって日本に戻って楽しみにしていたのに…。
相変わらずお前は徹底して俺たち…特に俺を避けるし…。
新人研修を終えて配属決定の時、桃は営業2課にくれって言ったのに…光輝が、営業2課にはクセ者の肉食女子達がいるから絶対にダメだって言うし…。
どうせアイツら仕事なんてしないんだから、纏めて悠太の所にやって、桃をうちにくれよって言ったのにダメだった。性格的に、桃は庶務の方が合ってるからって言うんだぜ」

良かった!庶務で!
お兄ちゃんナイス!グッジョブ!

「部署が違ったら同じ会社でも全然桃に会えないし…」

凄い避けてましたから…私…。

「たまに会えても、めっちゃ塩対応だし…お前…」
大河が苦笑する。

「気づけば…お前が入社してから2年以上も経っていて、俺ももう29で…30歳も目前だ。
なのにお前とは結婚どころか何の接点もなくて、進展のしようがない…。
内心めちゃ焦ってた…。
しかも俺と光輝は、お前が悠太の事を好きなんだと思い込んでいたから…」


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