極上御曹司のヘタレな盲愛
兄、光輝と、悠太、そして大河の同期三人は、妹であり幼馴染の私から見てもそれぞれタイプの違う、超がつく程のイケメンだ。

美波先輩のイケメン分類によると『キラキラ系イケメン』が兄の光輝、『インテリ癒し系イケメン』が悠太、『神系イケメン』が大河という事らしい。

幼稚舎から大学部まで、学生時代ずっと彼らの後輩だった私と花蓮だが、昔から三人の人気は本当に凄かった。
そこに花蓮が加わると、それは凄い人目の引きようだった。

4つ離れているので実際に校舎が同じだったのは初等部の2年間だけだったが、学食が初等部から高等部までは同じなので、初等部の頃、花蓮と昼食を食べているとたまに3人が合流する事があった。

周りの同級生達が、羨望の眼差しでこちらをチラチラ見ている中に、私だけに向けられる『お前だけ場違いだろう』という『嫉妬』『怒り』などのネガティブな感情のこもった視線が少なからずある事には早い時期から気づいていた。
視線だけでなく、面と向かって私にそう言う同級生もいた。

良家の子女が多く集う我が母校だったが、三人の中でも世界的有名大企業の直系御曹司である大河は、外国の血が入るその飛び抜けて麗しい容姿のせいもあり、特に熱狂的なフアンが多かった。


中等部に上がってしばらくして。
「あなたの事を『双子の残念な方』って最初に言って馬鹿にしたのは水島大河さんなのよ」

花蓮の取り巻きの同級生が嘲笑いながら私に言った。
高等部の光輝、悠太、大河と数人の男子が、私たち双子についてそう学食で話しているのを同級生の誰かが聞いたのだそうだ。

以来その噂が広まり、私は陰で『似鳥の双子の残念な方』と呼ばれるようになった。

言い出したのが幼馴染の大河だと聞いて、私はとても悲しかったが心のどこかで納得した。

そもそも大河は私の事がもっと小さい頃から嫌いだった。

大河は子供の頃からずっと私にだけ酷く意地悪だった。

その理由もなぜかわかっている。


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