極上御曹司のヘタレな盲愛
2階のエレベーター前。

「じゃあな、仕事に励むのもいいけど、無理すんなよ。俺は今から第3会議室に行ってくる。あと、定時後18時半に下のロビーで待ってろ。一緒に帰ろう」

「うん、わかった…。あのね、大河。さっきは助けに来てくれて、ありがとう。嬉しかった。…あとね…」

周りに誰もいない事を確かめて、大河にちょっと耳を貸せというジェスチャーをする。

背を屈めた大河の耳に唇を寄せて…。

「あのね…私…大河の事が、好きよ…」

ついでに大河の頬にキスを一つ…。

恥ずかしい!

呆然として固まって動かない大河を見もせずに、脱兎のごとく逃げ出し総務部のフロアに駆け込んだ。


庶務係の自席に着くと、もう美波先輩と恵利ちゃんも戻っていた。
悠太の姿はまだない。

「桃ちゃん、大丈夫?顔が赤いけど…」

「桃センパイ、大丈夫ですか?」

「う、うん!大丈夫です。腕の怪我は時間が経てば傷跡も残らないだろうって。
さっきは有難うございました!ホントごめんなさい!迷惑かけちゃって」

「いいのよ」

「藤井課長はまだ第3会議室ですよ」

「後でゆっくり話を聞かせてよ。その指輪についてもね」

美波先輩はやっぱり鋭い!

私はコクリと頷き、昨日休んで溜まった分の仕事を猛スピードで処理し始めた…。


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