恋とマシンガン
それからすぐに宇奈月さんの連絡を受けたタクシーが私たちの前に止まった。

私は直木くんをタクシーに乗せると、運転手に彼の住所を告げた。

「代金はいつも通り、こちらに回してくれ」

運転手にそう言った宇奈月さんに、
「えっ?」

私は思わず聞き返した。

何か、今すごいことを言わなかったか?

「はい、かしこまりました」

運転手は当たり前のようにそう言うと、ペコリと頭を下げた。

「えっ、あっ…」

私が止める間もなく、直木くんを乗せたタクシーは発車した。

それを見送ると、
「もう帰るぞ」

宇奈月さんがそう言って、ポンと私の肩をたたいた。

「あ、あの…」

「何だ?」

「タクシー代のことなんですけど…」

そう話を切り出した私に、
「ああ、ちゃんと払っておくから」

宇奈月さんは何でもないと言うように言い返した。
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