【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
他のバンドの演奏がそのあとも続いた。だけど、正直覚えていない。ずっと、頭の中は“カム”でいっぱいだった。


また会いたい。聴きたい。
そういう思いが日に日に増していく。


そういうとき、ふと思う。
あの制服が着られたら、会えるのかな。そんなことを。


中一と中二は保健室登校。三年になってからは完全に不登校の私だ。


だから信じられない。けど確実に、高校に行きたいという気持ちがじわじわと広がっていく。


人は目的を持つと、多少変わるのかもしれない。


何もない私にとってボーカルの彼、【大賀(おおが)君】という存在は、それだった。



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