【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
笑えているか笑えていないか、自分でもわからないような、へたくそな笑みを張り付けて首を横に振る私を見ると、西田さんはその場にへなへなと崩れ落ちた。


私の机に両肘と顎をついて「……なにそれ。葉由と大賀、あんなにいい感じだったのに……」とうなだれる。


落胆している西田さんを見ていたら、じぃんときた。


「ありがとう」


思わず伝えた言葉に、西田さんは「何がよ……」と、力のない声を出す。


HRの始まる数分前。教室内が一瞬、変にざわっとした。


すぐ傍で、椅子を引く音。

視界に入った……大賀君。


シャーペンを握りしめながら、どう接しようか、水面下で大パニックな私に、大賀君は何も言わず席についた。


……初めて、挨拶されなかった。


「おはよう」とこっちから言わなかったら、もうこれで終わる気がした。


心臓がドクドク鳴っている。


目をぎゅっと閉じて、深呼吸。


ここまで覚悟してする挨拶っていうのは、そうない経験だ。


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