【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
「ごめん、栞ちゃん……」


両手を合わせて謝罪すると、栞ちゃんはクスっと笑った。


「ううん、こっちこそ。わたしさぁ、葉由みたいに仲良くなれた友達って初めてなんだ。だから、知りたいって欲張っちゃって。ごめんね」


あれだけ交友関係の広くて、人間関係を上手に作っている栞ちゃんが?


私が初めて……?


なんだか腑に落ちないけど、「そうなんだ」と返した。


ぱくっと栞ちゃんが卵焼きを齧る。


「えぇと。何から話そう……」


「“振られた”ってさっき言ってたけど、葉由が何かしたの……?」


栞ちゃんは訝し気に窺う。


「どこまで言っていいのか、わかんないんだけど……。大賀君の噂で、彼女に本気になることはないって、あれ。あったでしょ?」


「うんうん。最悪なあれね」


「やっぱり、それには理由があったっていうか……」


手元のお弁当をぎゅっと握る。”優ちゃん”の存在が、私の胸を突き刺してくる。


「……他に、好きな人がいるとか?」


いとも簡単に栞ちゃんに言い当てられてしまった。



目があちこちを行き来する私に、栞ちゃんはもう確信している。



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