【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
「……それって……最悪じゃん。大賀君なんかとやっぱり付き合わなかったらよかったね……」


栞ちゃんの目は完全に据わっている。


「すきな人がいるならさ?他を見ないのが当たり前でしょ?どうして人を巻き込むの?最悪!さいってい……!葉由も元カノもみんなかわいそう!」


言いきって、肩で息をする栞ちゃん。


こんなに怒るなんて思わなかった。心臓がドキドキと鳴っている。


「忘れよう?あんなやつ。男なんかごまんといる」


いつもなら、”そうだね”とか言っているんだろうな。


だけど、どうしても、うん、と頷く気にはなれなかった。



どう言ったら、栞ちゃんを否定せず、気持ちを伝えられるのか、しばらく考える。


「ありがとう、栞ちゃん。だけど大賀君が悪いわけじゃないんだ。裏切りとか、そういうのじゃないの。大賀君を怨むなんてことは、私には絶対できない……そういう理由がある」


「どういう理由?」


栞ちゃんはそう、眉をひそめる。


「その理由は……。大賀君自身の話だから言えない……。けど、大賀君だけは責めてほしくない。ほんとにごめんね」


「ううーん……そっか。うん……わかんないけど、葉由がそう言うなら……わかった」



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