【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
教室前の廊下についた瞬間、感じ取った嫌な雰囲気。知らない女子四人が行く手を阻んでいる。


「ちょっと楠本さん、なんなの?」


つかつかと歩み寄ってきた違うクラスの知らない女子。


思わずたじろぐ私に、もう一人女子が詰め寄る。


「大賀になにしたの?!」


「な……なにって?」


間抜けな声に、他の女子がイライラしながら加勢する。


「大賀が、もう誰とも付き合わないとか言ってんの!」


「今日彼女交代の日なわけじゃん。何したわけ?」


「まじでむかつくんだけど」


動揺を隠す方法もわからない。

ただ怖くて、ドキドキと心臓が鳴り続ける。


背筋に流れた嫌な汗がつたっていく。


そんな私の隣で、栞ちゃんが何か言いかけた時。



「葉由のせいじゃないから」と後ろから声がした。


……大賀君だ。



「葉由はなにも悪くない。俺の問題」


すっと目の前に割り込んだその背中。

……蓮に似てるなって思った。


ほら、私だって。大賀君が優ちゃんを想うみたいに。ずっと蓮が、心の奥にいるんじゃん……。



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