【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
授業を終えて、次の休み時間。


私はすぐに西田さんのところへ向かった。


廊下でイヤホンを耳に挿している、その小さな肩をトントンと叩く。


「葉由?どうした?」


目を丸くしながら、イヤホンを片耳から外した。
シャカシャカ漏れているのは、カムの曲だ。


「あ、カム聴いてたんだ」

「うん。聴く?」


首を横に振ると、西田さんはポケットからスマホを取り出して、音楽を止めた。


「……葉由、もしかしてあたしがハミられてること、気にしてくれてんの?」


にやりと白い歯を見せる西田さんの目は、全然笑えていない。


ハミる……ってやっぱり仲間外れにされてるんだ。


「大丈夫?」


眉間に皺を寄せて聞く私に、西田さんはあっけらかんと笑う。


「大丈夫大丈夫。よくあることだから」


「よくあること?」


「そうそう。それより次、選択音楽だね」


「うん。栞ちゃんと一緒に行こ?」


私の声に頷いた西田さんは、やっと普通の笑い方をしてくれた。



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