【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。

切ない夏の始まり

翌日の花火大会。


花火に浴衣で行くなんて発想がなかった私だけ、ペールブルーのマキシワンピースを身にまとっている。

二人は涼しげな可愛らしい浴衣姿。

夏の風に揺られて、足首をかすめる細いプリーツが、ちょっと悲しい。


「葉由の私服可愛い」


西田さんのお世辞で気を取り直して、まだ明るいうちにと、場所取りに向かう。


「シート持ってきた?」と西田さんがいたずらっぽく聞く。

「それは持ってきた」

「ははっよかった。でも念のため大きいの持ってきたからこれ敷こう!」


栞ちゃんが広げたキャラクター模様のシート。五人くらい余裕で座れそうだ。


「じゃ、今のうちになんか食べ物買いに行こうか!」


カラコロと下駄を鳴らす西田さんについていく。


「あたし電球ソーダ飲みたい」


「なにそれ?」

首を傾げる私に「あれあれ!光るから夜は楽しいよ」と、栞ちゃんが指さす先。


ピカーッと光る電球に何か飲み物が入っている。

浦島太郎状態な私としては斬新だと思ったけど、世の中ではもう十分有名らしい。



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