【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
自分の中の気持ちから目を背けて、山積みの受験対策本だけを見る。
シャーペンの芯を押し出し、齧りつくように解いた。
だけど、頭の中では。
当たり前みたいに彼の歌声が、流れ続けていた。
苦しい……会いたい。蓮と……、大賀君に。
蓮と並ぶように、あの歌声が聴きたいと思ってしまう。
それは絶対に許せない。
すっと、学習机に手が伸びた。
どうして?
私は蓮と撮った最後の写真を、そっと伏せている。
ふぅっと細い息が漏れた。
心が、ほんの少し、軽くなった。
湧き上がる自己嫌悪。それでも写真から目を背ける私は、何て卑しいんだろう。
たまらなくなってえずいて、泣いて。
泣き疲れては、大賀君の声を聴く。
そうやって続く最悪な毎日が、現実味を日に日に、増していく……。
朝、目が覚める。
もがいては息継ぎをして、今日を繰り返すうちに……春が来た。
―――”合格通知”、その文字を、指の腹で撫でた。
シャーペンの芯を押し出し、齧りつくように解いた。
だけど、頭の中では。
当たり前みたいに彼の歌声が、流れ続けていた。
苦しい……会いたい。蓮と……、大賀君に。
蓮と並ぶように、あの歌声が聴きたいと思ってしまう。
それは絶対に許せない。
すっと、学習机に手が伸びた。
どうして?
私は蓮と撮った最後の写真を、そっと伏せている。
ふぅっと細い息が漏れた。
心が、ほんの少し、軽くなった。
湧き上がる自己嫌悪。それでも写真から目を背ける私は、何て卑しいんだろう。
たまらなくなってえずいて、泣いて。
泣き疲れては、大賀君の声を聴く。
そうやって続く最悪な毎日が、現実味を日に日に、増していく……。
朝、目が覚める。
もがいては息継ぎをして、今日を繰り返すうちに……春が来た。
―――”合格通知”、その文字を、指の腹で撫でた。