【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
そのすぐあと。東の夜空に花火が打ちあがった。


パァっと煌めく大輪の花火は、残像を残して消える。


一筋の光も見逃したくないくらい愛しくて、瞬きさえ惜しい。



生ぬるい風が吹いて、長い髪を揺らした。それを耳にかけて、また空を見上げる。


「きれいだね……」


パラパラと儚く散っていく。


もっと続いてほしい。できれば、このまま永遠に止まってしまえばいいのに。


私は隣に立つ大賀君を見上げた。


もう見慣れてしまった、切なそうな横顔。


やっぱり、時間は、動いたほうがいい……。



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