【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
今、優ちゃんを想っているのかな。
幼馴染だから、一緒に花火を見たことくらいあったはず。
私も、毎年蓮と……花火大会に行っていたな……。
ぎゅっと、暖かい手を繋いで……。
「あれ?」
大賀君の声にハッとして顔を上げた。
「どうしたの?」
「いや、みんないないんだけど……」
「え?」
大賀君が指さす背後を振り向くと、そこに栞ちゃん、栗原君、笠間君の姿はなかった。
「あ、笠間からLINE入ってる。“ちょっと急用がはいった”だって」
「私も栞ちゃんから“ちょっと急用がはいった”って……」
ピロンと大賀君のスマホが鳴った。
「……栗原が、“ちょっと急用がはいった”って。まじであいつら……」
ぽかんとしたのは一瞬、二人で吹き出してしまった。
「なんか、ごめんね葉由」
「ううん、嬉しいよ」
「え……」
バーンと響く花火の音が途切れて、ようやく沈黙に気付いた。
「違うよ?話せるのが嬉しいというか。友達として、ね?」
慌てる私に「うん。わかってる」と笑う。
大賀君が向ける柔らかい笑みは、やっぱり、相変わらず……いや、前にも増して私の心臓を速めた。
このときめきがなくなる日なんて、いつか本当に来るのかな。