【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
「……ご両親にもう会うなって言われても、優ちゃんは大賀君に会いたいんじゃないのかな?」


たとえ、意識がなくても。

眠ったままでも。



「だって優ちゃんといい感じだったんでしょ?」


「……うん、でも」


「眠っているって現実を見たら、やっぱり辛いって思うかもしれないけど……。だけど。だれでも好きなひとには会いたいよ。優ちゃん、きっと待ってるよ」


大賀君の悲しみが晴れるかなんてわからない。

でもこのままでいたって、何も変わらない。


「もし、大賀君が傷ついて、苦しくなったら、私も……きっとカムのみんなも、全力で大賀君を支えるから」


大賀君が、私から目をそらした。

そのまま、天を仰ぐ。


「ほんと……葉由は強いね」


「強いと思うなら、それって全部、大賀君のおかげだよ」


「そんなの無意識だよ……、でも無意識ほどこわいものはないか」


大賀君はフッと笑った。そして、前を向いて、彼は言った。


「うん。会いに行ってみる。ちゃんと準備してから行く」


「準備?」


「まぁ心の準備っていうかね。ズタッボロのぼろ雑巾になっても、友達でいてよ?」


友達って言葉には多少グサッとくるものがあるけど。


差し出された拳に、コツンと拳を合わせた。


「うん。絶対に」


夜空に浮かんだ大輪の花が、一瞬世界を輝かせて、散っていった。




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