【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
◆
日直の仕事で、黒板を消している。
目に入った日付を見て、もうすぐ一学期が終わるんだなと思ったら、物寂しくなった。
隣で黒板消しを上下に動かす大賀君。
彼とも、新学期になったら、席替えで離れてしまう。
もうこれが大賀君との最後の日直の仕事なんだなって思うと、余計に寂しい。
「届かない?」
そう言って、黒板の高い位置を全部消してくれた。
「ありがとう」
はにかむこのだらしない顔を見られたくなくて、思いっきり俯いた。
……これは、もう絶対、ひた隠しにしないといけない想いだから。
黒板をピカピカの緑色にしてから、自分の席に戻る途中のこと。
「万理ぃ、ちょっと聞いてよ」と竹内さんが西田さんの席に向かっていくのが見えた。