【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
「いたた……」

「腫れてるわねぇ」

保健室のソファに腰を掛け、保健の先生が処置してくれたけど。


「折れてはいないけど、もうこの後は全部見学ね」

「わかりました」

「葉由、本当にごめん」


「西田さんのせいじゃないよ。大賀君に夢中になって転んだだけだから……」
と言った瞬間にドアが開いて、「葉由が怪我したって?」なんて、大賀君本人が来るんだから、もう一回転びそうになった。


「大賀ちょうどよかった!あたしこれから試合でないとだから、葉由おねがーい!」


と、申し訳なさそうに両手を合わせる西田さん。


「え?!」


西田さんの番は、さっき……終わったよね?


そういう顔をした私の耳元で「これで許して?」と申し訳なさそうに、ささやかれてしまった。


それって、「うん」って、答えるしか選択肢がない……。


西田さんは本当に保健室を出て行ってしまった。


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