【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
大賀君は反対の道路の奥、草むらでしゃがみ込んだと思ったら、立ち上がることを二、三度繰り返す。
その手に握られる草花が、増えていく。
「もしかして、お供えするの?」
思わず漏れた独り言。もしかして、じゃない。絶対そうだ。
心の奥が、あったかくなる。
ふわっと暖かい風が吹いた。
カナカナとひぐらしが鳴いている。
無性に、切ない。
横断歩道の向こう側。
西日は、もう夕日へと姿を変えていて、オレンジ色の世界の真ん中に大賀君が立っている。
信号待ちする大賀君のシャツが、はたはたと揺れた。
まっすぐ私を見やる彼。
私も彼を見つめ返した。
何秒?ずっとだ。
彼はただ、私を見ている。
目をそらす選択なんて許さないほど、私たちは強く視線を絡ませて……。
信号が、青になる。
そちらに目を移したとき、ようやく彼は横断歩道を渡り始めた。
「それ、蓮に?」
「うん」
「……ありがとう」
大賀君が握る草花は、長細い葉を使って束ねられている。
ねこじゃらし、ヒメジョオン、それにヘビイチゴ。
ふふっと笑う私に「これしかなかったんだよ」と大賀君は恥ずかしそうに言った。
「蓮、絶対喜ぶ。ねこじゃらしもヘビイチゴも、小さい頃一緒に取ってたもん」
「へぇ……。いいね、ここ自然いっぱいで……」
花束をそっと置くと、大賀君はしゃがみ込んで、手を合わせた。
私も隣で同じように合掌する。
目を開けても、大賀君はまだ手を合わせていた。
その手に握られる草花が、増えていく。
「もしかして、お供えするの?」
思わず漏れた独り言。もしかして、じゃない。絶対そうだ。
心の奥が、あったかくなる。
ふわっと暖かい風が吹いた。
カナカナとひぐらしが鳴いている。
無性に、切ない。
横断歩道の向こう側。
西日は、もう夕日へと姿を変えていて、オレンジ色の世界の真ん中に大賀君が立っている。
信号待ちする大賀君のシャツが、はたはたと揺れた。
まっすぐ私を見やる彼。
私も彼を見つめ返した。
何秒?ずっとだ。
彼はただ、私を見ている。
目をそらす選択なんて許さないほど、私たちは強く視線を絡ませて……。
信号が、青になる。
そちらに目を移したとき、ようやく彼は横断歩道を渡り始めた。
「それ、蓮に?」
「うん」
「……ありがとう」
大賀君が握る草花は、長細い葉を使って束ねられている。
ねこじゃらし、ヒメジョオン、それにヘビイチゴ。
ふふっと笑う私に「これしかなかったんだよ」と大賀君は恥ずかしそうに言った。
「蓮、絶対喜ぶ。ねこじゃらしもヘビイチゴも、小さい頃一緒に取ってたもん」
「へぇ……。いいね、ここ自然いっぱいで……」
花束をそっと置くと、大賀君はしゃがみ込んで、手を合わせた。
私も隣で同じように合掌する。
目を開けても、大賀君はまだ手を合わせていた。