【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
春の先
陰鬱とした雰囲気をださないように、周りに溶け込もうと背筋を伸ばした入学式。
「葉由って可愛い名前だね」
隣り合って座ったツインテールの少女は、女子高生らしく表情が瞬いていた。……こういう普通の女子高生に、私はなりたかった。
口角の端と端を持ち上げて、「ありがとう」と声にする。
そのエガオはへたくそだったかもしれない。
けど、女子生徒は笑った。まるで小さい子供に向けるような、優しい眼差しで。
「よろしくね、葉由ちゃん!」
……栞(しおり)ちゃん。
この子がいるから、高2になった今でも、学校に通えているんだと思う。
◆
「おはよっ、葉由ー!」
私の背中に声をかけ、ツインテールをご機嫌に揺らした栞ちゃんは、隣を歩き始めた。
テニスのラケットケースを斜め掛けして、制服のプリーツスカートの上はポロシャツ、というラフな格好で栞ちゃんは登校する。
「おはよう。今日は朝練ないの?」
「うん、今日はお休み!このGWほっとんど練習だったからねぇ」
栞ちゃんは、うんざりした表情で天を仰ぐ。
かと思えば「あ、そうだ!」と、何か閃いたような笑顔をこちらにむけた。
栞ちゃんの表情はくるくると変わる。喜怒哀楽がわかりやすくて、素直で明るい。
好かれやすくて誰とでも仲良くなれる人。
私なんかと一緒にいてくれるのが何故なのか、たまに不思議になる。
「葉由って可愛い名前だね」
隣り合って座ったツインテールの少女は、女子高生らしく表情が瞬いていた。……こういう普通の女子高生に、私はなりたかった。
口角の端と端を持ち上げて、「ありがとう」と声にする。
そのエガオはへたくそだったかもしれない。
けど、女子生徒は笑った。まるで小さい子供に向けるような、優しい眼差しで。
「よろしくね、葉由ちゃん!」
……栞(しおり)ちゃん。
この子がいるから、高2になった今でも、学校に通えているんだと思う。
◆
「おはよっ、葉由ー!」
私の背中に声をかけ、ツインテールをご機嫌に揺らした栞ちゃんは、隣を歩き始めた。
テニスのラケットケースを斜め掛けして、制服のプリーツスカートの上はポロシャツ、というラフな格好で栞ちゃんは登校する。
「おはよう。今日は朝練ないの?」
「うん、今日はお休み!このGWほっとんど練習だったからねぇ」
栞ちゃんは、うんざりした表情で天を仰ぐ。
かと思えば「あ、そうだ!」と、何か閃いたような笑顔をこちらにむけた。
栞ちゃんの表情はくるくると変わる。喜怒哀楽がわかりやすくて、素直で明るい。
好かれやすくて誰とでも仲良くなれる人。
私なんかと一緒にいてくれるのが何故なのか、たまに不思議になる。