【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
でも、どうして?


頭ががんがんする。


どうして、大賀君は私を見ているの?


……いや、私しか見ていないの?



【全部ウソだよ
悪役は悪役らしく
今日も君の傷をえぐっているんだ


君の中の君を
目覚めさせたくて
俺の嘘を
見破ってほしくて】



痛む頭の中で、突然声が聞こえた。


『はーくん!』



……誰?



【今日も俺は、君に嘘をつく。
ねぇ起きて、起きてよ
もう一度二人で、
歩き出して みたいんだ
諦めたくないんだよ
……君のことだけは】



ぐるぐると視界が回っていく。


『はーくん』


さっきから、誰の声?



『俺“ちはや”なんだから、ちーくんじゃないの?』

『ちーくんより、はーくんの方が、可愛いから』



「……はぁっ」


息が苦しい。


目が回る。
ぐらぐらと視界が崩れていく。


「葉由!?」



床に崩れ落ちた体。意識が、音が……遠のいていく。




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