【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
くるくると癖づく長い髪。
小学生のころ、葉由は毎日のようにポニーテールをしていた。


その尻尾をぐいっと引っ張れば、「千颯くんやめてよ!」とすぐ泣きべそをかく葉由。

あのころから俺は、きっと葉由のことが好きだったんだろう。


「うるせーブス!」

思ってもないことを言って、余計に泣かせてしまうのは、俺で。


「葉由はブスじゃないよ」


さっと間に入って来るのが、蓮だった。


「大丈夫?葉由」

「うん」


涙を浮かべた葉由は、いつも蓮の服を掴んで、俺から隠れるように、蓮の後ろへ下がる。


葉由を守るような蓮の手は、まるでヒーローで。


悪役の俺はそのイライラに身を任せて、いつも葉由をいじめていた。


俺のことを嫌いな葉由にムカついた。


だから余計、いじめた。



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