【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
一方、蓮は嫌味なやつだった。


まじで最悪な奴だった。何やってもそつなくこなしてしまう。


かないそうでかなわないライバル。それが蓮だった。


「はー、キャッチボールしようぜ」


葉由の言う「はーくん」が一番に移ったのはこいつだった。
「くん」をとって「はー」だけど。


蓮は暇さえあればすぐ俺を誘った。


どうせ蓮に野球でかなうわけがない。


だから俺は「そのグローブ、汚いから嫌だ」とかなんとか言って、公園内のバスケットコートへ歩いていった。


コートの中でボールをつき始めた俺から、ひょいっと取り上げる蓮のいたずら顔。


「おい!なんだよ!」

「1on1 !」


蓮はそう言って、挑発するみたいにボールをついている。


「……ちっ」


結局俺たちは、夕日が沈むまで、ボールを奪い合った。



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