【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
小学校高学年の夏。


星座早見表の宿題を抱えて、葉由と蓮と三人で夏の夜空を見上げた。


くるくると早見表を回転させる。使い方もわかんないし、星なんてどうでもいい。


だけど葉由は楽しそうに、小さな星を眺めていた。


「ねぇ、どれが織姫と彦星?」


「わかんない」と言う俺の隣で、蓮は人差し指を、天に向けた。


「あれと、あれ」


葉由の目線に近づいて、簡単に指をさす。

本当に嫌味なやつだ。


「あれ?」


「うん。ベガと、アルタイル」


「へぇ、そうなんだ。蓮すごいね!星博士……」


なんか、負けた気分。だから俺はたった一つ持っていたうんちくをその場で伝えたんだ。



「虹って、太陽が出てるのと、反対の方にでるらしいよ」

「へぇ、知らなかった」


蓮は頷きながらそう返す。


「そうなんだ。今度見てみよう」


目をキラキラさせた葉由に、俺の口元は簡単に緩んだ。


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