【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
だけど蓮はすぐに、葉由をかっさらうんだ。


「見て。あれがデネブ。……ベガ、デネブ、アルタイル。それが、夏の大三角」

「織姫と彦星と……デネブ?デネブには、恋の相手はいないの?」

「三角なんだから、三角関係なんじゃないの」


今思えば、蓮のやつ。葉由と自分が両想いなのを確信していて、俺に向けて言った嫌味だったんじゃないだろうな?


「蓮!帰るぞ!」

「おー、今行く」


クラスが違っても、俺たち飽きもせず、毎日一緒に下校した。


テストの点、通知表の数字の大きさ、スポーツテストの成績。


何もかもをはり合って、帰り道すら全力ダッシュで競争して。


……馬鹿だよな、俺たちは。


そんな俺たちが一番勝ち取りたかったのは、葉由の気持ちだった。



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