【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
だけど、ヒーローってやつは、やっぱり強い。



中学に上がるころ。
蓮が葉由に告白して、あっけなく、二人は付き合い始めた。



それでも俺にも、葉由との特別な時間っていうのは、あった。


中学に入って、同じクラスになった葉由。


バスケ部と記入した入部届の紙を出しに行こうとしたとき。


「はーくん、音楽部じゃないんだ」


葉由は音楽部と記入された入部届を手元に持ってそう言った。


「音楽部って、バイオリンもピアノも声楽も、音楽ならなんでも挑戦できるんだって」


「そうなんだ」


音楽なんて、習い事でうんざりするほどやっているのに。


俺はバスケ部に二本線を引いて、音楽部と書き換えた。


あの時の葉由の嬉しそうな顔は、今も胸に焼き付いている。



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