【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
俺の一挙一動に顔を赤らめる葉由は、俺のことが好きだとすぐにわかる。

だけど葉由なら、俺の一挙一動に顔を赤らめるはずがない。




葉由は、一体だれに、恋してるの。




俺を見て。

お願いだから、思い出して。



『はーくん』


またそう呼んでほしくて。


二人で連弾した「ラ・カンパネラ」をピアノで弾いて見せた。


でもだめで、ポニーテールを引っ張ってみた。


だけど、全然届かない。


バイオリンで、むかし散々練習したきらきら星を弾いたときは、初めて聴いたみたいな顔をして。



……なんで思い出してくれないんだよって、気付いたら涙が溢れていた。



だけど、葉由は言ってくれた。


俺の歌った曲が、中学のときの葉由を支えたんだ、って。


「それ……俺、泣いていい?」



もう、堪え切れなかった。



俺を知らない葉由と付き合うのは……思ったより、苦しすぎた。




< 191 / 206 >

この作品をシェア

pagetop