【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
「葉由!」


ごめん、と心の中で叫びながら、走る。

はーくんの家の方角へ。

「待って!」


ぎゅっと腕を掴まれた。蓮の足の速さにかなうわけがなかった。


「もう引っ越しちゃう。今日が最後なの……!」


そう言うと、蓮の手の力が弱まって、私の腕から離れた。


蓮の目は、横断歩道の向こう側にいる、はーくんを見ている。


「葉由は、はーのことが好き?」


「……好き」


「あっそう……」


信号が、青になる。



一歩踏み出す。


「もう……いいや、頑張ってこいよ!」


そう伸ばされた手は、エールのまま勢いを増して。



「葉由!」



短い声とともに、思いっきり私を突き飛ばした。




“……今日が最後なの……!”



本当に、最期だったのは……誰。



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