【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
“はーへ
葉由とはーって両想いなんだろ?
あと少し、気持ちの整理が着いたらちゃんとするから。
遠くに行っても葉由のこと忘れんな!あと俺も。
元気で。またな!
蓮より”



「またな、じゃないよ、蓮……っ」


いつまで待っても、もう無理じゃん。


なんで、最後まで……蓮はこんなに最悪な私に、甘いんだろう。


「蓮は葉由のこと……めちゃくちゃ好きだったもんな」

「優しかった。王子様みたいって思ってた」

「わかる。あいつは本当にそういうやつ。はぁ……。蓮に、会いたいなぁ……」


 深いため息と共に出た、掠れかけた涙声。


「……うん……会いたい」


 また、三人で会えたら。どんなことを話そう。


 そんなことを、たったの一秒思い浮かべる。


その一秒に、胸が抉られた。

涙がせり上げてくる。


だってそれは永遠に叶わない。どんなに高く、手を伸ばしても。


「会えないけど、戻ってこないけど……。蓮は、私たちの中で生きているのかな」


 助けを求めるように、はーくんに問う。真っ赤な目を優しく細め、はーくんは言った。


「俺たちが生きている限り、蓮は二度と死なせない」


 生かす、そう続けた声に、私はまた泣き出してしまった。



「蓮から貰った幸せ……十三年分。ひとつも、絶対に忘れないでいよう?」


「……絶対忘れないよ。葉由じゃないんだから」


 はーくんはそう言って泣きながら笑った。


「ひどい……はーくん」



 涙をこぼしながら、彼らしい彼のことを、見上げる。


「所詮俺はいじめっこだからね」


 悪戯な泣き顔だ。だけどその顔に孤独を感じない。

 こんなはーくんを見たのは、すごく久しぶりに感じた。





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