【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
「大賀!やっときた!」

その声にビクッと肩があがる。

「おはよう」


大賀君が教室に入った瞬間空気が変わるのは、今日が特別というわけじゃなくて、通常通り。


大賀君のもつ独特のオーラっていうのが、そうさせるんだと思う。


「何?俺の話?」


こんなに離れた、教室の端と端で、声が聞こえるだけでドキドキする。


彼の声は、本当に。
脳に、心に、ずるずると入る。


「ねぇ、彼女と別れたって本当?!」と大賀君に詰め寄る女子が声をあげた。


「よく知ってんね」


そう簡単に答える大賀君は、しれっと席に着いてしまう。


ありこちで沸き上がる、超音波みたいな黄色い声。

それをものともせず、彼はふわぁとあくびをした。



「大賀が別れたって!!」


それは、さほどかからず、学校全体に広がっていくんだろう。



―――今日が、彼女交代の日だと、確定した。



< 20 / 206 >

この作品をシェア

pagetop