【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
「まじで別れたって!どうするの?」


栞ちゃんが私の背中をパシパシと叩く。


「えっと……。どうしよう」


咲かない花を咲かせるには、私じゃ装備も防御力も経験値も足りない。
わかっている。
私が大賀君の相手になるなんて、何百年も早いってことくらい、とっくに。



だけど、同じクラスになって、埋めただけの種に水を与えてしまった。


大賀君がそこにいる。どんどん欲が膨らむ。



……関わりたい。
クラスの真ん中にいる魅惑的な彼に、私の目は今も吸い寄せられている。



明るくて穏やかな雰囲気。友達と冗談を言い合って、お腹を抱えて笑ったり、女子に囲まれて、ほんのちょっと照れくさそうにしてみたり。



ステージで見た彼のイメージのまんまだ。


ふとした時に、表情が陰るのも。あの時と同じ。


みんなの真ん中で十分満たされていそうな大賀君。
なのに、どうして寂しそうにするんだろう。


恋愛依存症を検索したら、自ずとたどり着くワード、”寂しい”、”孤独”。


そういう何かの足りなさで、彼女っていう存在を求めているの?
だとすれば、私がなりたいって、やっぱり思ってしまう。


……蓮への罪悪感に強く……蓋をして。



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