【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
大賀君のせいで騒然としている教室を先生がたしなめて、HRが始まった。


「じゃあ予定通り席替えをします。学級委員おねがいします」


栞ちゃんがくじ引きの入ったビニール袋を握って、教室を廻っている。


次は私の番。


袋に手を入れた時、「葉由はこれ」と、反対の手にくじを握らされた。


「ありがと……?」


渡されたくじを開いて、その番号に移動する。


息を飲んだ。
私の隣で背の高い彼が、視界からフレームアウトして立っている。隣の席に、大賀君がいる。


栞ちゃん……これ、完全にずるだよ。


そんな困惑の表情を浮かべる私に、栞ちゃんは白い歯を見せてニカッと笑った。


思わぬ状況に、ドキドキと心臓が速まり続ける。
ふぅ、と息を吐き出した。



椅子を引いて座ると、もう本当にすぐそこに……大賀君だ。

視界に入る彼の面積が広まった。頬が体温が、熱い。
俯いて、鎮火するのを待つ。


「……あの、ねぇ君、聞いてる?」


……そんな、馬鹿な。

ひょいっと顔を出した彼の目は、私の顔を覗き込んでいる。




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